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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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振り向きたくなる彼 <前編>


 嫌いじゃない。
 でも、好きかどうかはわからない。

 それをちゃんと理解するには、どうすればいいの――――――?






【振り向きたくなる彼】




 親友の元カレから告白された。
 嫌、告白じみたものをされた、というのがより正確だろうか。
 彼が私に言った言葉は、はっきりした答えを出さなくてもいい言葉だった。
『好きでいてもいい?』
 だからこそ、その時私は、どんな答えを出せば正解なのかが全然わからなかった。
『勝手にすれば』
 そう答えはしたものの、それで本当によかったのか、今でも全然わからない。
「ハルの元カレってのを除いて考えれば、そりゃあもう素晴らしい物件なわけですよ」
 少し地味めだけど顔はいいし、性格も真面目。勉学に関しては自分と比べたら失礼なほど良いし、物静かでうるさく無いし、何より話が合うので、会話をしていて飽きることはまず無い。
「だからこそ謎なんだよなー。何で私? ハルと別れてから、何でよりによって私になったわけ?」
 考えれば考えるだけ、そのあたりの謎が深まるばかり。
 ハルを挟んで彼氏と親友という間柄だった期間が長かったからかもしれないが、彼を恋愛対象と見た事がそもそも一度も無かったので、正直、現状は戸惑いしか無い。
「ぬぅ~」
「何呻いてんだよ? 姉ちゃん」
 背後からいきなり声がした。
 いまさら間違うこととは無い。その声は弟のものだ。
「こらー。入る時はノックくらいせんかー」
「したし。何回も」
 振り返ると、不機嫌そうに眉間を寄せた弟が開け放たれた入口の壁によりかかっていて、そこからゆっくり体重移動をして離れると、かったるそうに大股で部屋の中を歩いて私の元へやってきて、手に持っていたペットボトルのドリンクをぐいっと前に突き出してきた。
「母さんが持ってけって」
「おう。せんくー」
 見た目に反してすごく気遣い屋の弟に感謝を述べつつ素直にそれを受け取ると、早速封を開けてぐいっと飲んで一息をついたら、ついでにため息が漏れてしまった。
「なんだよ。でっけぇため息なんかついて」
「色々と疲れまして」
「はあ?」
 弟は訳がわからないと顔をしかめて大仰に疑問符を口に出した。
 だがその次には、先ほどの私に負けず劣らず大きなため息をひとつつき、机の隣にあるベッドに勢いよく腰をおろした。
 私はその行動が話を聞く態度であると長年の経験から瞬時に判断し、体をベッドに座る弟に向け、椅子の上で胡坐をかいた。
「姉ちゃんは現在困ってるんですよ」
「何で」
「初めて男の子に告白されてしまったからです」
「……」
「って、なんでそこで黙るかなあ?!」
 何か反応が来ると思っていたのに、なぜだか沈黙が返ってきたので、思わず突っ込みを入れると、先ほどの不機嫌そうな表情をさらにさらに不機嫌そうにというか、今回は確実に不機嫌ですという表情に変えて、大分長い間押し黙ってしまった。
「おーい。目ぇあいてるー?」
「……うっせぇ」
 目の前で手をぱたぱたさせると、おもむろに枕を顔に向かって押しつけられる。
「のわっ」
 痛くはなかったので別に良いのだが、なぜそんな反応をされたのかが謎だった。
「誰なんだよ、そんな命知らず」
「こら。姉ちゃんに告ったら殺されるぜー? みたいな言い方すな」
「似たようなもんだし」
「なんか酷い事言われた気がするんだけど」
「気のせい。……とりあえず誰なの、そいつ」
「ハルの元カレ」
「ハルさんの?」
 何度か顔を合わせた事のある親友についてはしっかり覚えていたようで、少し驚きを含んだ声をあげた。
「何それ。元カレ? 別れたの? ハルさん。別れる要素無いってあれ、とか姉ちゃん言ってなかったっけ?」
「言った言った。でも夏休み前にハルが振ったんだってさ。何で振ったのかは理由聞いてないからわからんけども」
「ふうん……」
 再び口を閉ざした弟を横目に、腕を組んでごった返す頭の中を整理しながら私は言葉を続けた。
「まあ、ハルの事を含めて困った点は色々あるわけなんだけど、一番わからなくて困ってるのは自分の気持ちなんだよなぁ」
「なんだよ。そんなことで悩んでたのかよ」
「そんな事って言うなー」
「だって姉ちゃんはさ、そいつの事、嫌いじゃないだろ?」
「なんでそうなるわけ?」
「断らなかったんだろ?」
 言われてみれば確かにそうだ。
 勝手にしてもいいとは言ったが、断ってはいない。
 何で断らなかったんだろうか?
 好きだから?
 否。
 そんな簡単に言い表す事が出来るはっきりとした感情はない。
 でも――――――。
「多分。それが今の答えだと思うぜ」
 話は終わったとばかりに弟は立ち上がって部屋を出る。
 でも、扉を閉める前に一度振り返って、はっきりと不機嫌そうな表情のまま、ぼそっと何かを口にした。
 それが何なのかを聞き取れないまま、閉じられた扉をしばらく見つめ、天井を仰ぎ見た。



「わかるようでわかんないや……」



 自分の本当の思いに気づくまで、後どれくらいかかるんだろう?



 漠然とそんな事を考え始めたこの日が、私の初めての恋の始まりだった――――――。




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2009⁄08⁄07(Fri) 23:38
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
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