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振り向きたくなる彼 <後編>
 頭で理解よりも先に理解する。

 それが心ってものらしい。




 恐らく、生まれて初めてだと思う。
 本気で好きか嫌いを花びら占いで知ろうと思ったのは。
 これ名案と思い、それを実行に移そうとした矢先に
「姉ちゃんってっ時々物凄く馬鹿」
 と、冷やかにツッコミをされたため、結局実行に移すことなく終わったけれど。

 勉強に頭を使い、ひたすら悩む行為は慣れているからいいが、恋愛事となるとさっぱりな私。
 割と自慢の切り替えの早さと集中力で受験勉強に支障はきたしていないものの、この状態を受験が終わるまでずっと維持し続けられるかどうかは、正直なんとも言えなかった。
 自棄になった場合の解決方法以外はまったく思い浮かぶことがなく、結局足踏みする程度で前に進む事が出来ないまま、中途半端な状態がつづいているのはあまり良い状況ではない。
 解っているのにどうしようも出来ないというのは、結構辛いものがあった。
 頭で考え続けた所でどうにもならないのは解っているのに、癖というのはあんがい曲者で、恋愛事に関して言うならば、常に『理性』を重んじる思考は邪魔もの以外の何者でもなかった。
 理性という壁を乗り越えても、壊しても、それよりも早く新しい壁が築かれてしまうのだから、正直、もうお手上げ状態だった。
「おはよう。アキさん」
「はよう」
 こうして声をかけられれば、平気で目を合わせて返事ができてしまうのも、なんだか恋する乙女の反応とは違う気がする。
 少なくとも、大よその恋愛小説なりのベタな反応とは合致しない。と思う。
 むしろ、こちらが目を合わせた矢先に顔をそらす彼の方が恋する乙女の反応にマッチしている気がする。
 そうなると、ちょっと私、女としてどうよ? と複雑な気持ちになる。
 そうやって自己分析をしてしまう時点で、もう色々と、乙女だのロマンチックだのとはほど遠いのだろうけど……。
 そんな風に悩む日々が続き、つい最近終わりそうだと思っていた夏はとっくに終わって、めっきり季節は秋に替わっていた。


 すっかり体が慣れてしまった、少し遅い朝の目覚め。
 遅い朝食を食べて学校へ向かい、何時も通りに図書室へと向かう。
 図書室に入ると、お気に入りの窓際の席は自分用、隣の席を荷物置き場として陣取って、鞄から取り出した読みかけの本を開いたところで、ふと、彼と初めてまともに会話をした、少しだけ過去になった事を思い出した。
『本、いつも自前なんだね?』
 お互いに数少ない図書室利用者の常連だったので、その時、その言葉は特に気にならない一言だった。
 けれど、その言葉を思い出した今現在はというと―――。
「あれ? もしかしなくても、結構前から私、彼に観察されてた?」
「うん、してた」
「うわっ?!」
 少しハスキーな魅力的な低音ボイス。
 耳に吐息がかかるほど近い距離で聴き取ったものだから、思わず素っ頓狂な声を出して驚いてしまった。
 ダイレクトに声を受け止めた右耳を押さえて勢いよく振り向くと、声の主である彼の顔が物凄く近い所にあって、それにさらに驚き、思わず上体をのけぞらせて、彼から距離を取った。
「その声、不意打ちプラス間近で聴くと、殺傷能力ありすぎっ」
「そんな事言われても……」
 複数の感情が複雑に入り混じった、なんとも言えない表情を浮かべた彼に、私もどう対応すればいいのかよくわからなくなり、とりあえず小さく深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、姿勢を元に戻して、まだ立ちっぱなしの彼を見上げた。
「それより、何時から?」
「アキさん観察の事?」
「そう、それ」
 彼は気恥ずかしそうに後頭部を掻いて、ぼそぼそと言った。
「大分前から。経緯は、まあ……察して。それで観察してたら、結局一度も図書室にある本読まないし、一冊も本借りないで去っていくから、大分気になって、それで声かけてみたんだ」
「……ホント、よく見てらっしゃることで」
「それ以来、現在進行形でガン見だけど」
「……さいですか」
 やっぱり相当観察期間は長かったらしい。
 観察されていた事に対してはまったく嫌ではなかった。
 けれど、なんだかそれが妙に気に食わないと、今、感じた。
 どうしてだろう―――?
「解ったからには見物料をいただこうか」
 とりあえず、その気に食わなさを当てつけてみる。
「英語の抜き打ちテストの範囲なら教えられるけど、それを見物料にするのは有り?」
 当てつけ失敗。
 くそう。さりげなく、私の苦手分野の救済してくれやがってっ!
「―――好きなだけ見やがり遊ばせ」
「言葉づかい変だよ?」
「ほっといてっ」
 私の回答に顔を緩ませた彼を見たら、余計になんだか気に食わなくて。
 それ以上になんだか妙に落ち着かなくて―――。
「ヨウ。顔、緩み過ぎ」
 思わず名前を呼び捨てていた。
 その瞬間、彼の動きがぴたっと止まって、しばらく静止した後、彼は自分の口元を手で覆い、思いっきり顔を背けた。
「今の反則っ」
 何が? と問うまでもなく、後ろ向きでも、彼の耳が赤く染まっているので状況は安易に察する事が出来た。
 それを見た私自身は、なんとなくスッキリとした気分になる。
 うん。いい感じ。
「アキさん。もう一回言って? 僕の名前」
「これ以上はサービス料が発生しますがヨロシイデスカ?」
「……酷いっ」
 だからこそ困る。
 こんな奇妙な感情、今まで出会った事がなかったから。
「もう一回だけっ!」
「どうしようかなー」


 そう。

 きっともう。

 彼を振り向きたいと思っている自分が居る。



 そして恐らく。

 彼を振り向いてしまうまで、そう、遠くはない気がする――――――。



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2009⁄09⁄26(Sat) 01:32

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