2017 03 << 1234567891011121314151617181920212223242526272829302017 05
PleaseRead
ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

■ご挨拶■
本ブログは、管理人である yumi が書く、自作小説を主としたブログサイトとなっております。
素人の書く文章であるため、何かと不都合があるかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。

■著作権について■
本ブログ内全ての著作権は管理人であるyumiにあります。
文章・画像等の無断転用等は行わないようお願いいたします。
※著作権について詳しくはコチラをご覧ください。
Update
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





--⁄--⁄--(--) --:--


▲pagetop
an Obstinate Person


【 an Obstinate Person 】






 昼食直後に始まった会議がようやく終わり、席に戻ってメールのチェックや着信履歴が無いか一通り確認していた時だった。
『お姉ちゃん助けてっ!!』
 突如かかってきた妹からの電話を受けると、耳鳴りがするほどの大きな声で妹が叫んだ。
 あまりの音量に思わず電話から遠ざけ周りを見渡すと、どうやらしっかり声が聴こえていたようで、多くの視線がこちらに向けられていた。
 妹には少し待つよう言ってから、部長に断りを入れて電話を持って人通りの少ない廊下に出た。
「どうしたよ?」
 聞き返すと、鐘を打つような早さで返事が返ってきた。
『レンちゃんが学校で倒れたのっ!』
 レンちゃんとは、妹の子で、私の姪っ子。
 つい最近小学生に上がったばかりの可愛い盛りの子だ。
 ただし、ちょっとだけ性格が変わっているけど。
「……そう。何で倒れたっか聴いた?」
『えっと……。はうっ!? き、聴き逃しましたっ!!』
 きっと聴き逃したのではなく、聴き忘れた間違えじゃないかと内心思いつつも、こんな事はよくあることなので、今はあえてそこは聞き流すことにした。
 ツッコミを入れてたらきりがないボケっぷりを発揮する妹の相手を真面目にすると結構体力を消耗するので。
「まあいいや。それは学校に電話して聞こう。まだレンちゃんは学校なんでしょ?」
『うん。そうなの。でもね……』
 電話越しの妹の、声のトーンが一気に落ちた。
 それだけで大体の事を察する。
『直ぐに迎えに行きたいんだけど、どぉ~しても抜けられない仕事が入っちゃってね……?』
「迎えに行けないってわけか。旦那と我が母様には?」
『旦那さんは今ね、雲の上なのー』
 一瞬、思わず返す言葉を詰まらせた。
 雲の上ってなんだ、雲の上って。
 会議のせいでぼうっとした頭を一生懸命回転させて、なんとか答えをはじき出す。
「……もしかして、飛行機に乗ってる最中、とか?」
『そう、それ!』
 ということは、恐らく出張か、あるいは帰りが遅くなるような状況に居るのだろう事は間違えない。
『あれ? なんかおかしかった?!』
 少し返事が遅れた事が気になったのか、そんな言葉が返って来た。
 それは特に気にしないように言って、母には連絡を取ったのかを改めて聞く。
『電波の届かない所に居らっしゃるご様子でしたー』
「あー。そういや母上はお友達と観劇行くとか言ってたような……」
 朝、そう言えばそんな事を言ってた気がすると思い出す。
 ちなみに我が家の父は現在一人で小旅行中、妹の旦那の両親は他県に住んでいるので論外だ。
『なので、お姉ちゃんしか居ないのっ! お姉ちゃん、レンちゃんの救助お願いっ!』
 こうなったらもう私しか動ける者が居ないので仕方がない。
 別に嫌なわけではないのだが……。
「はいはい了解」
 きっと仕事なんてあわあわしっぱなしてろくに出来ないで終わるんだろうなーと、妹の様子を思い浮かべながら電話を切り一息つく。
 幸いにして余りに余ってる有休があるので、急遽午後休を取得して、姪っ子の通う小学校へと急ぎ向かった。


 事前に電話で聞いた所によると、午後になって急に熱が上がり、それでふらついて倒れたという事らしい。
 大けがなどではない限り、小学校側ですぐさま病院に連れて行くという対応は、万が一の問題を考え対応するのは難しいらしく、迎えに行ったら直ぐさま病院へ行く必要があるようだった。
 保健室のベッドで寝ていたレンちゃんの顔は熱のためか真っ赤で、私を見返す目も大分潤んでいた。
「……母ではないんです?」
 いつもは尊大な態度の彼女だけれど、なんだかんだと言いつつも、結構母親大好きっ子なので、こういった時は、やっぱり母親が来てくれた方が嬉しいのだろうか。
「直ぐに来れないからって、私に電話してきたの」
「そうなのですか……」
「代役でごめんね?」
「そんな事ないのです。来てくれて嬉しいのです。むしろ、母が来るより嬉しいのです」
 あれ? なんか思ってた反応と違う。
「それ、お母さんが聞いたら泣くぞー?」
「気にしちゃだめなのです」
 なんだかちょっとだけ罪悪感を覚えながら、レンちゃんの荷物を持ってきたお友達から、その荷物を受け取り、一人で歩くと言い張ったけどふらふらしているレンちゃんと手をつないで学校を出て病院へ向かう。
 その途中、レンちゃんがぼそりと小さな声で呟いた言葉には、あえて気付かない振りをした。
「……迷惑かけてしまったのです」



 妹の雲の上発言から察するに、恐らく数日の出張に出ているであろう旦那さんの事もあるので、病院で検査を終えると、妹からすると実家になる我が家へ連れて帰る事にした。
 たまに泊りに来る時のように、居間に布団を運びいれて敷き、軽い食事と薬を飲ませてレンちゃんを寝かせた後、検査結果をふまえ、妹に電話とメールで連絡を入れた。
「まあ、どうせ重要な所はすっぽ抜けた状態で、怒涛のごとき勢いで帰ってきそうだけど」
 案の定。
 有る意味期待を裏切らない反応を見せた。
「レンちゃん! 生きてるっ?!」
 怒涛の勢いで我が家に返ってきた妹を見て、あらかた私の予想が間違っていなかった事に思わずため息をつく。
「レンちゃんが死んじゃったら、お母さん、生きていけないっ?!」
「いや、ただの風邪だって連絡したでしょうが」
「そうなの?!」
 一気に熱が出たのがよかったのだろう。しばらく寝たら大分体調が良くなったようで、タオルケットにぐるぐる巻きにされているような感じでありながらだが、私の隣に座って、母がお土産で買ってきたお団子をもぐもぐと食べていたレンちゃんが、ぶすっとした表情で己の母親を見た。
「勝手に殺さないで欲しいのです。母」
「だよねー」
「なのです」
 尊大な具合も大分何時も通りの調子を取り戻してきた様子。
 ひとまず安心。
「心配したのにぃー!」
 実の母親の鬼気迫る様子などなんのその。
 まるで気にせずお団子を頬張っている。
「このお団子、美味いのです。あんこが乗ってるくせに、しかも、こしあんが乗ってるくせに、美味いのですっ」
 何がどういう理由でこしあんが乗ってる事が気になったのだろうか謎ではあるものの、美味しいと思って食べているので、そこは深く追求しない方がよさそうだった。
「お母さんは粒あん派よっ!」
「母の好みなど今聞いていないのです」
 ばっさり娘に切られた妹は、助けを求める目を私に向けた。
「お姉ちゃん! 私、ついにお団子にも負けちゃったんだけどっ?!」
 その相変わらずの母子の様子に、思わず笑ってしまった私を見たレンちゃんが、笑われてしまったと不機嫌な顔でつぶやいた。
 ま、レンちゃんは多分、母親に迎えに来てもらえなかったので、構って欲しさにこんな反応しているだけなんだろうけど。
「もう、しかも何でお団子なの?! 消化はそんなに良くないとお母さんは思います!」
 自棄になった妹が、まだ一つだけ残っていた串団子をつかんだその手を、突然レンちゃんがぐっと掴んだ。
「よく噛めば大丈夫なのです。問題ないのです。だからそのお団子はそこに置くべきです。私が食べるために、そう、お月見をしながら食べるための団子は、そこに置いおくべきなのですっ」
「え? お月見するの? レンちゃん。今日、曇ってるよ?」
「風邪ひきさんなのにお外はだめよっ!」
 思わず問い返しただけの私と、意外と真っ当な理由でお月見の阻止しようとする妹を見て、思わずレンちゃんは押し黙った。
 ただ、それは少しの間だけで、お団子を持ってる手でもって、「ずびしっ!」と音がしそうな調子で壁にかけてあるカレンダーを指さした。
「で、出来るのです! そこのカレンダーの写真にある月を見ながらっ!」
 確かにカレンダーには満月の写真が載っていた。
 だから、苦肉の策ながらも、その思わぬ発言に、うっかり納得しかけてしまった。
 恐るべし。
「……それもまあ、お月見と言えなくもないか……?」
 二次元でも月は観てるのは確かだし。
「納得しないでよ、お姉ちゃん……」
 娘の断固とした態度に思わずがっくりと肩を落とした妹のその姿は、いっそ笑ってしまいたくなるほどの哀愁が漂っていた。




【お題】 お月見 哀愁

※本記事はSaint Valentine記事との関連記事になります。
 よろしければそちらもどうぞお楽しみください。


FC2 Blog Ranking

紳士同盟アリス








2009⁄09⁄30(Wed) 20:00
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(6) trackback(0)
▲pagetop

【 コメント 】



おー、レンちゃん再登場!
相変わらず可愛いですね^^

カレンダーでお月見。
私も納得してしまいました。

このシリーズ、好きですv
2009/10/01 13:05 URL | 恵以子 [ 編集]

む、どこかで見たことあるキャラだったような・・・と思っていたらValentineの時のキャラでしたかー

やっぱ読む側としてはそういうのに少しでも気づけるとにやり、としてしまいますわ

それにしても今回話の上だけ登場した、このちょっと抜けた妹と結婚した旦那さんとは、一体どういうキャラなのだろう・・・気になりますっ!
2009/10/03 09:36 URL | tone [ 編集]

バレンタイン企画の時のキャラクターですね。
相変わらず、いい感じです(*´∀`)
しかしこの妹は…母親としては果たして大丈夫なのかと。
彼氏ができたなんていったらもう大変なことにw
2009/10/04 01:53 URL | Mr.Noddy [ 編集]

>恵以子さん

何故だか物凄く反響があったレンちゃんがまさかの再登場ー。

こんな子が本当にいたら、私なんかもうずっとニヤニヤしちゃってそうですよ・・・w
その姿を見た他の事もが
「ママー! なんか変なおねえちゃんがいるよー!」
とか言ってたとしても、きっと気にせずニヤニヤし続けてる自信がありますっ!

気に入っていただけて嬉しいです^^


2009/10/06 22:47 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>toneさん

そうです。バレンタインのあの子ですっw

うっかりにやっとしてしまいましたか?
私は自分で書いててニヤニヤしてましたけどね?

ちょっと抜けた妹の旦那さんは、正統派しっかり屋さんだと思います。
でないと家が大変な事になってそうですからっw
2009/10/06 22:59 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>Mr.Noddyさん

ちっこい子が嫌いな方でも安心ですっ!
な、あの子が再登場でしたー。
良い感じでしたか? 良かったですw

きっと彼氏が出来たなんて聞いたら、
一か月くらい夜な夜なべそをかいたりなんかして
「えぇい、うっさいのです、母っ!」
とか怒られてそうですよね?

……ホント大丈夫かな? この母親。

今後が色々な意味で心配ですねっ?w


2009/10/06 23:08 URL | yumi@管理人 [ 編集]
【 コメントを投稿 】












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


trackback URL

| HOME |

Profile

管理人 : yumi
年齢 : 26
性別 : 女
職業 : SE
備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

Category
Comment
Link
Counter
Ranking+Alliance
Search
RSSフィード
ブロとも申請フォーム
ねこまたまめこメール便

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード
blog chart

▲pagetop

Copyright © 2017 ねこまたまめこは夢を見る。. All Rights Reserved.
template by nekonomimige & blannoin photo by Encyclorecorder
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。