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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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とある国のクリスマス【前編】
とある国のクリスマス【前編】


※本作品は、本来のクリスマスとは意味合いや設定が異なっております。
ご注意ください。





「ふざけた奴めが!」
 王城を中心として円状に広がり反映した王都の、王城よりほど近い場所に位置する貴族街の一角で、男は苦虫をかみつぶしたような表情で、抑えきれない怒気を込めた言葉を吐きだした。
「元々宗教には興味の無い奴だったが、単に興味が無いだけならまだしも、よりにもよってクリスマスを行事として取り入れようとするなど、我々の神を侮辱する行為だ!」
 男のそばには頭まですっぽり覆い隠す様な街灯を身に纏った影が一つ。
 影は男の言動に興味を示さず、男は影の存在を気にせず憤慨し続けている。
「以前から目に余る事が多かったが、まだ許せる範囲であった。だが、今回ばかりは許す事は出来ん」
 影の前に徐に立ち、懐から中にかなりの量が詰っている革袋を差し出した。
「前金だ。国王を黙らせろ。小賢しい真似が今後二度と出来ないようにさえできれば殺さずともそれで構わん」
 影は金の詰った袋を受け取り、何も言わずに静かに頷いた。


 ◆ ◆ ◆


 真っ白なはずなのに、光が当たればやや青みがかった輝きを放つ巨大な城。
 その城を囲うのは背の高い城壁。
 その城壁には城の南に位置する場所に正門。東、西、北にもそれぞれ小さな門が備わっている。
 エドゥアルトは何時も通り、正門から城の敷地内へと入った。
 それぞれの門に最も近い場所には騎士団宿舎があり、城周辺の警備を騎士たちが行っているため、良く顔を合わせる騎士たちとは軽く手を上げて挨拶を交わす。
 南が白。東が青。西が緑。北が赤。優劣は無いがそれぞれの所属が一目でわかる様に、制服は色分けされていて、エドゥアルトは正門を守る白の制服を最も気に入っていた。
 門をくぐれば城へ上る階段までの距離を色鮮やかな草花が出迎えてくれる。
 陽気で腕のいい庭師達が、通る人々の目を楽しませる工夫を凝らしているため、いつでもそこは色鮮やかで美しい。
 暫く美しい草花で心を洗われる気分に浸りながらたどり着く先は長い階段だ。
「……これは虐めだ」
 エドゥアルトは常日頃から思っている事を遠慮なく呟きながら、ただでさえ良く無い顔色を悪くしながら長い螺旋状の階段を上ってゆく。
 階段沿いには城で働く使用人たちが寝泊まりする場であるため、まだ仕事に出て居ない使用人たちが、時折心配そうな顔をして彼に声をかけたりするが、丁寧に一つ一つ親切な言葉に断りを入れながら、時折息を整えるために立ち止まりつつも階段を上りきった。
 そして、上りきった所でやっと、彼の職場である城の入り口が現れる。
「ご苦労様です。宰相閣下。今日はご自分の足で来られたのですね」
 城の内門を護る衛兵に言われた言葉に思わずエドゥアルトは軽く睨みつける。
 睨めつけたと言っても、表面上は変わらず冷淡な表情を浮かべているようにしか見えないのだが。
 ちなみに、階段を上る前よりも顔色は悪くなっていた。
「君はどうやら勘違いしているようだ。私が城へ来るときは殆どが自分の足で無駄に長い階段を上ってきています。したがって、「今日はご自分の足で」という表現は誤っています」
「それは申し訳ありませんでした。以後、気を付けます」
 衛兵の返事に頷くと、背後から慌ただしい足音と共に彼を呼ぶ声がした。
「閣下! 宰相閣下」
 だが、その声を完全に無視してエドゥアルトは進む事を止めない。
「閣下、良いんですか?」
「あの者はちゃんと手続きをしてから入る必要があるでしょう。ちゃんと手続きをさせなさい」
「足止め……ですよね」
「ええ。ちゃんと足止めしてください。あの者が関わるとろくな事が……」
 最後の言葉を発しようとした瞬間、エドゥアルトは咳込んだ上に吐血した。
「ああ……血が、足りない」
「閣下っ!?」
 衛兵が慌てて駆け寄るも、エドゥアルトは膝を折って崩れ落ちる方が早かった。
「ああ、死にたい」
「いや、死んじゃだめですよ閣下! ああもう、誰か担架! 担架もってこいっ!」
 エドゥアルトは薄れる意識の中、何故自分がこんな目に毎度あわなければならないのかと心の中でひたすら文句を言いまくっていた。


 ◆ ◆ ◆


「閣下っ!!」
 エドゥアルトが倒れる様子を目の前で見たハインツは顔色を蒼白にした。
 憧れの若き宰相は病弱なのが唯一の欠点であり、病弱であるのを除けば彼ほど有能な人は居ないとハインツは思っていた。
 実績からして、エドゥアルトは他を寄せ付けない実力者であるため、ハインツと同じ認識の者は多いに違いなかった。
 だからこそ、毎度の事ながら血を吐いて倒れ込む姿を見るたびに、彼が不在になった時の事を恐れてしまい、ついつい彼に付き纏ってしまうのだった。
 担架で運ばれてゆく姿を目にとめ、ちゃんと息をしているのが見てわかると、ハインツはほっと息をついた。
「入城許可書をご提示願います。ハインツ殿」
「あ。はい。すみません。コレです」
 首に下げた入城許可証を見せて、入城者の欄に名前を書き込み、急いでエドゥアルトの元へ向かおうとしたが、仕事をしない者が何故ここに居るのかとあの若き宰相は冷徹な表情でハインツの事を見るだろうと予想が出来るため、己を必死に律して、数日後に開かれるパーティーの準備を進めるために職場へと足を向けた。


 ◆ ◆ ◆


 謁見の予定がひと段落したところで、ヴォルフの元に宰相が吐血して倒れたという知らせが届いた。
 普通なら慌てるべき場面であるはずだが、余りに良く聞く知らせの内容に表情一つ変えない。
「またか。忙しい奴だな」
 と、感想を述べるばかりである。
 この国王として君臨する彼は、日に焼けて黒くなった健康的な褐色の肌とがっしりとした体躯と荒削りな堀の深い顔立ちのためか、豪胆な傭兵のような雰囲気を持っている。
 そして、常に余裕ある笑みを浮かべて、若き宰相からは良く、碌でもない事と称される事をやるのだ。
 数日後に控えたクリスマスパーティーも、見事に「碌でもない」と言われた事柄の一つである。
「北の大陸では神の子として崇められる奴の誕生日ってことで、それを祝うパーティーをするらしい」
 そう切り出したときには既にエドゥアルトは顔をしかめて、またかとため息をついていたが、それもお構いなしだ。
「俺は別に神の子なんざ知った事じゃないがな、パーティーには興味がある」
「言っておきますが、そんなパーティー開く余裕はありませんよ」
「言っておくがな。俺は国民に大変人気なんだ。適当に国王様の善行を言いふらせば資金何ぞすぐ貯まる」
「貴方が何時善行なんぞしました。まだそれほど歳を召されているとは思っていませんでしたが、もうボケが始まっているんですね。ああ、嘆かわしい」
「おいコラ。国王様に向かって事を言いやがる貴様」
「何です? ついに私の首を切りたくなりましたか? どうぞどうぞこの首お切り下さい。ついに私も念願の隠居生活が出来るので私は今とても心が躍っています」
「絶対お前の首は切らん。切ったら俺の自由が減る! 俺の自由が!」
「……こんな国王を持つ国など滅んでしまえばいいのにとうっかり今思っちゃいました。失礼」
「まったく。なんて奴だ」
 口では色々言いながらも、一般市民の出であるエドゥアルトを一代限りの貴族にまでして宰相位を与えたくらいに、エドゥアルトの才能に惚れ込んでいるヴォルフは、他の者に対してなら独断するであろう事柄も、ちゃんと彼と話し合ったうえで行動を起こす。
 今回の件もまさにそれだった。
「まあ、要するに俺がしたいのはだな、この国が栄えている事を近隣諸国に示せる何かをしたいと言う事だ。そして、今の時季はちょうど北の大陸ではクリスマスパーティーを行う時季だから、試しにやってみてはどうだろうかと言うわけだ」
 エドゥアルトには及ばない者の、ヴォルフも見た目からは想像できないほどに有能な男である。
 宰相位に誰も居なくても、ヴォルフだけで十分に国を繁栄させていく事が可能なほどだが、エドゥアルトという優秀すぎる者を置く事によって、見事に鋭い牙や爪を隠し通しているヴォルフであった。。
「なるほど。趣旨は理解しました。立派な建前の後ろに色々ありそうなことは目をつぶるとして、国の繁栄具合を示す機会はいずれ設けなければと思ってはいましたので、悪くは無い案でしょう」
「そうだろ、そうだろ?」
「ですが、一度限りのパーティーでは見せかけだと言われるのはわかりきっていますから、やるのであれば定着させるようなものにしなければなりません。そうするには、時間がかなり必要となります」
「何も今年から大規模にやれとは俺も言わん。俺もそこまで非常識では無いぞ」
「言いだしたら殴ってました。殴った後に私の手の骨にヒビが入りそうですが」
「軟だな。鍛えろよ」
 背筋が凍りそうなひと睨みをされるが、若き宰相の目から己の目を逸らしはしない。
「とりあえずは貴族たちを巻き込んでのパーティーを城でやってみましょう。パーティーの内容も宗教的な意味合いが有りますので、そこも気にしないとダメでしょうが、今回は時間が無いのでそのままで行くしかありませんね」
 大きなため息が最後についてはいるものの、十分な結果にヴォルフは深い笑みを浮かべたのだった。


 ◆ ◆ ◆


 久しぶりに屋敷に戻れば、乳母に早々に文句を付けられた。
「その格好は何ですっ!」
 市民街にほど近い位置に立つヤンの家は多くの騎士を輩出している名門貴族の家である。
 爵位こそ侯爵ではあるが、税金を多く払うのが面倒だからという理由から伯爵位を尽く蹴っているが、幸いにしてその理由を知られぬような事は今のところ無い。
 ヤンは幼いころから騎士になるべくして育て上げられたが、型にはまるのに飽いてしまい、貴族の息子ながらも傭兵を生業としている。
 元々武芸の才能があったこともあり、傭兵として名が売れ、嫌がりつつも時折出る舞踏会には、その名が大いに活躍するため、傭兵である事に反対していた者たちも今は傭兵だからという理由で剣呑な顔をすることは無い。
 だが、生業と服装とは別の話のようで、効率を求めた結果、質素で動きやすい服装をしていると、見た目が悪いと文句を言われるのである。
「せっかくの容姿が大なしじゃないですかっ!」
 文句を言われるのは自分の容姿にあるのを理解しているヤンは、特別動きやすさを必要としている状況下で無ければ、文句を付けられたら黙って服装を直す事に決めているため、素直に部屋に用意された服に着替えていると、父親が部屋に入ってきた。
「近く、城でクリスマスパーティーとやらをやるらしい。その招待状が届いた。今回はお前も参加しなさい」
「……何です? その聞き慣れないパーティーは」
「北の大陸で広まっているパーティーだそうだ。なんでも、神の子の誕生日を祝う日なのだとか」
「宗教がらみのパーティーのように伺えますが、大丈夫なんですか? それ」
「問題無いだろう。でなければ、宰相閣下が黙ってはおるまい」
 ヤンは未だに若き宰相とあった事が無いため、父親が信頼しているほどに現宰相を信頼してはいない。
 だからこそ、宗教と言う人をある意味盲目にさせる要素をはらむパーティーが開かれる事に懸念を覚えた。
「わかりました。どうせ暫く暇ですから、行きますよ」
 ヤンは頷き、日に当たり青みがかった輝きを放つ城を窓から見上げた。


 ◆ ◆ ◆


クリスマスパーティーってなぁに?」
 カイとトナーは瓜二つの顔にまったく同じ表情を浮かべて首を傾げた。
「父様が、北の大陸で有名なパーティーなんだって言ってたよ」
 サンタは弟たちにそう答えてやると、ベッドの傍に置いてあるパーティー衣装を手に取った。
「どんなパーティーなんだろう?」
 サンタ自身もそのパーティーの趣旨が良くわかっていない。
 でも、子供たちにとってはそれは特に気にすべきことでは無かった。
「わかんないけど、キラキラした飾りと、美味しそうな料理がいっぱい出る事は確かだよ」
 そう、子供たちにとってはそれで十分。
 パーティーが楽しいものであればなんだって良いのだ。
「さあ。早く着替えちゃおう! パーティーはもうすぐなんだっ!」
 三兄弟はうきうきした表情でパーティー衣装を着出したのだった。



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2011⁄12⁄25(Sun) 21:57
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
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