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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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果物記事を書こう! yumiの場合

だからこそ私は記録する。

忘れないように記録する。










「お前、ほんと桃好きなー」
 この時季の、たった二週間程の間だけ、兄が毎日のように言う言葉がそれだ。
 連日ぶっ続けで食卓に並べられる桃を見て、若干げんなりしながら言う兄なのだが、その口調や態度に反して、今日も出された桃に手を伸ばしている。
「兄貴は桃、あんまり好きじゃ無かったよね?」
「うん」
 次々に口に運ばれてゆく桃は、まるで白い肌をした乙女が頬を染めたかのような綺麗な色合いをしていて、箸で突いた時に感じる程よい堅さが歯ごたえのよさを感じさせ、ほんのりと香る桃の甘い香りが食欲を一層そそらせる。
 無論、そんな桃が不味いはずが無い。
 左手にご飯をよそった茶碗を持っているにも関わらず、兄はご飯よりも桃をせっせと食べている。
 なんだか少し滑稽だ。
 ただ、二つあった桃を一つの大きな果物皿に切って盛ってあったので、かなりの量があったはずなのに、あっという間に減ってしまった現状を見て、流石にそれはどうかと思ってしまう。
「桃食べすぎ。ご飯食べようよ」
「お前もな」
「私は食べてるよ、桃意外にも」
「俺も食べてるじゃん、桃意外にも」
 まるでそれを示すかのように、目の前のサラダを食べて見せるが、またすぐに箸は桃へと向かっている。
 全然説得力無し。
 桃があまり好きじゃ無いという事を疑いたくなる光景だ。
「桃、あんまり好きじゃ無いはずだよね?」
「叔父さん家の桃は別。うん、おいしい」
 まあ、つまりはそう言う事らしい。


 私たちの叔父さんは、道楽で色々な作物を育てている。
 ここ三日ほど続けて食卓に並んでいる桃も、叔父さんの道楽によって作られた作物の一つだ。
 道楽で作っているだけあって、売るほどに数は多くはない。
 近場に済む親戚一同に少しずつ配ってしまえば、あっという間に品切れだ。
 だた、叔父さんに育てられた作物は、商品として売れば相当な値がつくぞと親戚一同が口をそろえて言うほどに、こぞって素晴らしい出来のものばかりである。
 毎年のように御裾分けされて我が家に来る桃一つにしても、売れば数千円とする代物だと言う。
 道楽、恐るべし。
「はよ食わねぇと悪くなっちまうらに、もってってさっさと食ってもらわにゃ困るら! なんせウチだけでは食いきれねえほどえらくいっぺえあるさ」
 そう言って一杯くれたんだと言って、遠慮もせずに沢山渡された桃を、そのまま全部持って帰ってくる父もまた流石である。
 また、
「今年は雨があんまり降らなかったっけが、暑くてたらまんかった代わりに、桃はえらく甘くなったさ。美味しいけ、すぐなくなっちまうら」
 とも言っていたらしく、その言葉通り、今年の桃はとても甘くて美味しいものだった。
 
 
 それにしても、今の様子を見る限り、兄よりも先に味見をして「美味しい」と感想を述べたのは間違えだったかもしれない。
 
 
 兄は基本的に、未知のものを食べる時と、当たり外れの激しい食べ物が出された時には、すぐに手を出さない。
 果物は丁度後者に該当する。
 なので、家で食べる場合は、私が常に先に食べて、兄はその表情や感想を聞いて食べるかどうかを決めるのだ。
 そして、実際に食べてみて気に入れば、暫くの間はそれを食べ続けるという性質でもある。
 今回はまさにそれだ。
 後悔しても時既に遅し。
 桃の消費量はまれにみる減り方をしている。
 被害は甚大だ。
「私の食べる分、ちゃんと残しておいてよ? 後、ご飯、ちゃんと全部食べる」
「はいはい」
 返事をしながらもまだ食べ続ける様子なので、無理やり皿を遠のける。
 ギリギリ三切れだけ確保できたが、本当に食べすぎだ。
「残す気全然無いじゃないか」
「何を言う。まだ冷蔵庫に残ってるだろうが」
「テーブルの上に並んで無いところにある桃を勘定に入れるなよ」
「何を言う。悪くなるまえに消費してあげようと言う兄の親切心じゃないか」
「うそこけっ!」
 殆ど食べられなかった私と父は、もう一つ桃を切って食べる事にした。




 数日後。
 
 もう桃の季節が終わりを迎える頃。読書を終えてパソコンを起動させ、何か文章でも書こうかと思っていると、お昼をそれほど多く食べなかったせいか、日が傾き始めたばかりの頃合なのに、なんだか小腹が好いてきた。
 何か食べ物を探そうかとリビングへ行くと、滅多な事が無い限り台所に立つことの無い兄が、実に実に珍しく、台所に立っていた。
「何々? 珍しいじゃん。何やってんの?」
「今から桃を剥く所」
 どうやら桃が食べたくなったので剥こうとしていたらしい。
 恐らく理由は私と一緒だ。
「純粋な疑問。剥けるの?」
「皮は梨や林檎と同じ要領で剥けばいいんだろ? 余裕だ」
 そう言って、桃の皮を剥き始めるが、剥く速さは実に遅い。
 酸化して、剥いた側面が余裕で茶色くなりそうな速さだ。
 それに、酸化する事意外にも、食べるのに重要な点が損なわれようともしている。
 自分よりもずっと大きな手で、ちまちまと慎重に皮を剥いている様は、なんとなく微笑ましく思うが、そんなことを言っている場合ではない。
「ねえ。その速さだと、手の温度であったまりそうじゃね?」
「そんなこと無いと思うが」
「だって、剥いたら切らなきゃならんのだよ? 桃って結構切るのが大変なんだよ?」
「そうなのか?」
「うん」
 兄は暫く皮を剥く手を止めて考えた。
 そして、意を決したように言う。
「よし、切るのは任せた!」
「人任せかい!?」
「そうとも言う」
 いけしゃあしゃあと言ってのける辺りが実に自分の兄らしい。
 皮は最後まで剥く気でいるようだから、まだマシかとは思うけど。
「ならさっさと皮剥いてさっさとそこをお退きっ!」
「だから今一生懸命やってるだろ! 気持ちはマッハなんだよ! そこは察しろ!!」
「はいはい」
 丁度そのタイミングで父が帰ってきた。
「あれ。何なにー。桃剥いてんのー?」
「兄貴がねー」
「父さんの分はー?」
 せっせと皮を剥いてる兄に尋ねる。
「あるの?」
「たぶん?」
 とりあえず冷蔵庫を開けてみると、一個だけ残っていた。
 叔父さんの桃も、これが最後という事らしい。
「一個残ってたー。私が剥いとく」
「ありがとー」
「剥けた!」
 兄から手渡された桃は、実に綺麗に皮が剥かれていたが、やっぱりかなり茶色くなってきているのが少し残念だ。
 ただ、かなり頑張ったらしいので、それはあえて言わないことにする。
 渡された桃をさくさくと切ってお皿に分ける。
「お前、普段特に料理してない割には、言えば大体出来るよな」
「失礼な。まるで私が普段何もしていないようじゃないか」
「してないじゃん」
「まあそうだけども」
 爪楊枝を桃に刺してお皿を渡し、父と私が食べる分の桃を手早く切ると、父と一緒に席に着く。
 兄はあっという間に食べ終わり、父と私が席に着いた直ぐ後に席を立った。
「ごっつぉさーん」
「早いなー。食べるの。うん、ほんと美味しい」
 少し日がたってしまっても、叔父さんの育てた桃はまだ甘くて美味しかった。
 でも今年はこれで食べ収め。ちょっと寂しい気がする。
「来年も食べられるといいなー。叔父さん家の桃」
「来年も貰ってくるかー」
 ふと、甲高い声で蝉が鳴いた。
 そういえば、もう殆ど蝉の声が聞こえなくなった。
「そっか。桃の季節って、丁度夏が終わる頃なんだね」
「なんだ今更気づいたのか?」
「だって気にした事がなかったもん。気にする必要もあんまりなかったし。うわー、もう秋かぁ。あっという間だなー」
 昔と違って、今では一年中食べられるようになった桃。
 缶詰で売っていたりもするから、意外と生の桃を食べる家も少ないとも思う。
 恐らく、私のように季節を気にしていない人は、大勢居るんじゃないだろうか。
 けれど父は意外とそういう所がしっかりしていて、季節ごとに美味しいものが何なのかを知っていて、季節に合わせて食べ物を買ってくる。
 それが顕著に出るのが果物で、毎日のように出される果物の時季がわかれば、季節の変わり目もはっきりわかる。
「今年は父さん、あんまり桃食べられなかったよ。お前達に食べられて」
「原因は兄貴だから。私は毎年あんまり変わらない」
「そうだっけ?」
「そうですとも」
 最後の一切れを父に譲り、私は自分の部屋に戻った。
 そして、付けっぱなしだったパソコンの前に座り、自分の日記ブログを開いて文字を打つ。
 気づいたことを忘れないように記録する意味もこめて。








 『来年もまた、美味しい桃を家族みんなで食べられたらいいな』 って、書き込んだ。










2008/09/20(SAT)  総文字数:3426文字  

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2008⁄09⁄20(Sat) 22:00
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(18) trackback(0)
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【 コメント 】



とりあえず、桃下さい。
2008/09/20 22:04 URL | 綾瀬 [ 編集]

オン会以来ですね。
こんばんは。

素敵な桃、ご馳走様でした。。

とても美味しく頂けました。




2008/09/20 22:47 URL | 林檎 [ 編集]

桃たべたーーーい!
うちにも送ってください。
2008/09/20 23:14 URL | 彩世 [ 編集]

我が家ではオカンが季節ごとの果物をよく買ってきます☆

いや~桃食べたくなってきましたw
でも桃はないので冷蔵庫にある梨で我慢しときますww
2008/09/21 00:11 URL | りょーれる [ 編集]

私のところにも送ってください。
着払いでいいのでw

この間までうちに桃あったのに
なんでダメにしちゃったかなぁ。
2008/09/21 01:37 URL | Mr.Noddy [ 編集]

えーと、この流れだと、yumiさんが読者に桃を送ってくれるんですよね?ありがたく頂戴いたします。私にもください(笑
2008/09/21 15:17 URL | ジョン [ 編集]

>綾瀬

腰に手を当て胸をはり、堂々と片手を出してそう言っている姿が目に浮かぶよっ!

もう時季過ぎてるんで来年ね、来年。
2008/09/21 19:06 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>林檎さん

オン会以来ですね。
こんな辺境に来てくださってありがとうございます^^

我が家の桃にご満足いただけて何よりですw

林檎さん宅のリンゴも美味しくいただけましたよー。

2008/09/21 19:09 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>彩世ちゃん

いやね、ほら、もう時季過ぎてますから。
今は梨と葡萄の時季ですからっ。ね?

それにほら、彩世ちゃん宅にも、夢の中で人を襲う桃の木があるじゃないですかー。
きっとその木が気まぐれに桃くれますって。ねえ?w
2008/09/21 19:27 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>りょーれるさん

りょーれるさん宅は母上が季節ごとに果物買ってくるんですね。
美味しいですよねー。季節の果物って♪

自分もこの記事書いてる最中、何度桃を食べたくなったことか。
同じく梨で我慢しましたけどもw

今の時季は豊水でしたっけ? 甘くておいしいんですよねー。
って、うわー、話してたら食べたくなってきちゃった・・・・^^;
2008/09/21 19:34 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>Noddyさん

着払いでもいいと言う辺りが、Wあやせと違いますねー。やるなぁw

桃って悪くなりやすいですからねぇ。
悪くなって食べられなくなるとショックですよ、そりゃあもう物凄くショックです。
少しくらいなら大丈夫かなぁと思っても、食べてみるとやっぱり味が違うんですよねー。

桃、たべたいなー。
皆に送るだけの桃があったら私が食べたいですっ!w
2008/09/21 19:40 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>ジョンさん

流れに乗らなくていいですからっ!
っていうか、なんでこんなに皆に桃を集られなきゃいけないんですかっ?!
私、何か悪い事しましたかぁ?!!


もういいです、こうなったら【桃】という字を紙に書いて送りつけてやります。

「察しろっ!」

って。


だめ?w
2008/09/21 19:44 URL | yumi@管理人 [ 編集]

挨拶が遅れてしまってごめんなさい…><
先日はコメントありがとうございました☆

とても家族愛を感じる話でした!!久しぶりにほのぼの出来ました!!

桃は僕の爺さんが道楽で作ってます☆毎年楽しみなんですよね~!!来年が待ち遠しいです(^ω^)
2008/09/21 21:06 URL | Stick [ 編集]

>Stickさん

先日はお邪魔しましたー^^
こちらこそ、コメント有難うございます。

私自身、自分の家族大好きなんで、こういった感じの作品は実に書きやすいんですよー。
ほのぼのできたようでよかったですw

毎年楽しみにしているくらい、Stickさんのお爺さんが作る桃は美味しいんですね。
いいなーいいなー♪

って、私のところもこの作品のモデルにした叔父さんが道楽で作ってるんで、同じように楽しみにしてるんですけどもw

ほんと、既に来年の桃が待ち遠しいですね(*´ω`*)
2008/09/21 23:59 URL | yumi@管理人 [ 編集]

サノバピーチでなければ、食べられます。

ほのぼの。
2008/09/22 01:55 URL | Yacchiman [ 編集]

むしろ叔父さんと桃の木をください。
あと、桃の皮むきとカットが出来る人。
2008/09/23 19:34 URL | アル [ 編集]

>匠

サノバピーチじゃないから恐らく大丈夫・・・・だと思いますよ・・・ええ、多分、恐らく、きっと・・・・・・・大丈夫だよね?(自問自答

ほのぼの万歳~ヽ(゚∀゚)ノ
2008/09/23 23:35 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>アルさん

はい、どうぞ~♪

って、あげられませんからーっ?!


桃の皮むきとカットが出来る人は自ら探すべきですって!
そこは男を見せるべきですって!
その美声でゲットだ!!
レッツ、マダムキラーで突き進めば、かなりの高確率で皮むきしてくれる人見つかりますって!w
2008/09/23 23:42 URL | yumi@管理人 [ 編集]
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管理人 : yumi
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性別 : 女
職業 : SE
備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

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