2017 08 << 1234567891011121314151617181920212223242526272829302017 10
PleaseRead
ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

■ご挨拶■
本ブログは、管理人である yumi が書く、自作小説を主としたブログサイトとなっております。
素人の書く文章であるため、何かと不都合があるかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。

■著作権について■
本ブログ内全ての著作権は管理人であるyumiにあります。
文章・画像等の無断転用等は行わないようお願いいたします。
※著作権について詳しくはコチラをご覧ください。
Update
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





--⁄--⁄--(--) --:--


▲pagetop
短編小説 約束
短編小説  【 約 束 】







「約束だよ」

 小さい頃。私が母と交わした約束。
 
 
 あの頃は簡単な約束だと思った。
 
 
 けれど、とても難しい約束だという事に気づいた。
 
 
「うん、約束するね!」


 母の約束を守りきるまで後23年。
 
 
 
 
 どうか、どうか、約束を守りきれるよう、見守っていてください。
 
 
 
 ◆ ◆ ◆
 
 
 
 
 幼いながらも、薄々は感じていた事だった。
 
 
 
「夜分遅くにご苦労さまです」


 
 父が深々とお辞儀をした。
 
 そして、ゆっくりと家の中に白い何かを運び入れる。
 
 運び入れられたそれは、綺麗な着物を着た母だった。
 
 冷たくなった母の手。
 
 それだけで、何を失ったのか感じ取った。
 
 
 涙がこみ上げてはこなかった。
 
 
 ただただ、失ったものを見つめていることしかできなかった。
 
 
「お母さん」


 毎日のように悪夢にうなされる日々が、この日から無くなった。


 
 
 
 
 数日前、最後に会った母とは会話することができなかった。
 
 すでに話ができる状態ではなかったからだ。
 
 だが、周りの人々の呼びかけにはきちんと答えて、一生懸命に目を動かして返事をしていた。
 
「ほら、手をにぎって呼びかけてごらん」

 祖母が私にそう言った。
 
 けれど、たったそれだけの事ができなかった。
 
 
 目の前に居るのは確かに母だった。
 
 なのに、怖かった。
 
 優しい母の姿がそこには無かったから。
 
 元気な母の姿がそこには無かったから。
 
 ただ、怖かった。
 
 
 
 
 
 
 
 葬式の日。父が泣いた。
 
 
 
 どれだけ母を愛していたかを、私はその時初めて知った。
 
 
 
 葬式の日。私はずっと涙を堪えていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 数年後。
 
 
 
 
 
 父は未だに母の話をすると涙を流すことがある。
 
 私もまた、母の事を思い出すと涙を流してしまう。
 
 
 
 父も、私も、母が大好きだったから。
 
 
 
 
 
 けれど、涙を流すたびに、生きている母に会った最後の日を思い出す。
 
 手を握って話しかけることができなかった自分の愚かさが忘れられない。
 
 
 
 
 
 
 だから私は、元気だった母と交わした約束を、せめて守りぬいてみせると心に誓て今を生きる。
 
 
 
 
 自己満足ではあるけれど、それがきっと母の願いでもあると思うから。
 
 
 
 
 
 
 ◆ ◆ ◆ 
 
 
 
 「約束だよ」
 
 「うん、約束するね!」
 
 見上げた母の瞳から目線をそらさずに。
 大きな母の手を握って私は約束をした。
 
 
 
 
 
 
 「お母さんよりも長生きするって、約束する!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうか、どうか、見守っていてください。
 
 私があなたを越せる日を。
 
 あなたとの約束を守れるまで。
 
 
 そして、今度は勝負をしましょう。
 
 
 
 あなたの魂がこの地に再び宿るまで、私が生きていられるかの勝負を。
 
 
 
 
 約束しましょう。






FC2 Blog Ranking





2008⁄10⁄07(Tue) 20:00
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(0) trackback(0)
▲pagetop

【 コメント 】


【 コメントを投稿 】












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


trackback URL

| HOME |

Profile

管理人 : yumi
年齢 : 26
性別 : 女
職業 : SE
備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

Category
Comment
Link
Counter
Ranking+Alliance
Search
RSSフィード
ブロとも申請フォーム
ねこまたまめこメール便

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード
blog chart

▲pagetop

Copyright © 2017 ねこまたまめこは夢を見る。. All Rights Reserved.
template by nekonomimige & blannoin photo by Encyclorecorder
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。