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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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ガイ君の恋愛受難 受難其の壱
ガイ君の恋愛受難


受難其の壱  『恋敵は絶世の美女?』







「…っ。ハッ! せいやっ! たあ!!」
 掛け声がするごとに、風を切る音が、筋肉のしなる音が、床を踏み鳴らす音が響き渡る。
 静かな空間にそれらを響かせるのは、少し癖のある茶髪を汗で濡らした胴着姿の一人の青年。
 空手の形を決めて行くその様は、力強くもしなやかで、人々の目を惹き付ける魅力があった。
「……しゃあ!!」
 最後の掛け声とともに、地なりを起こすかのように床を踏み鳴らし、最後の形を決めた。
 瞬間、静かだった道場に感嘆の声が一斉に上がる。
「すげぇー!」「痺れるぅ」「かぁっくいい~」「よっ!ナイスガイ!」「よっ!振られっこ!」「喋らなければ男前なのにな」「むしろ喋るな、煩いから」
「って、後半ひでぇよ、お前ら?!」
 先ほどの男らしさはどこへやら。
 まるで強さなど感じさせないほどに、子供のようにぎゃあぎゃあと騒ぎ出す彼こそが、このお話の主人公のガイ君である。

 本日は、そんな彼の恋愛話を一つお届けしよう。






☆ ☆ ☆








「先輩、先輩!」
 休憩時間。
 飲み物を買いに道場をすこし離れた自販機の前で、何を飲もうかと悩んでいる彼を、元気な声が呼び止めた。
「どうした我が後輩」
 息を切らさない程度に駆け足でやって来るのは、彼よりも更に明るい茶髪の軽薄そうな青年で、空手着姿が似合わないようで意外と似合うサークルの後輩である。
 駆け寄ってきた後輩は、まるで飼い主に褒められて喜ぶ子犬のように、彼の下にやってくると、えへへと笑いながら右拳をぐっと前にだして親指を立てた。
「大ニュースですよ! もう空から槍が降ってくるくらいの大ニュースです!」
「な、なんと?! 酸性雨が一年間振り続けるというくらいの大ニュースとな?!」
「先輩、それリアルに大ニュースですから」
 まるで違う反応をした彼に対し、実に冷静なツッコミをする後輩。
 その冷静な後輩のツッコミに相槌を打ちながら、彼は自販機のボタンを押し、ガコンと音を立てて出てきたコーラを手に取り、徐に振り出した。
「先輩、それ、振ったらヤバくないですか?」
「そうか? 可愛い後輩の面白みのないツッコミにダメ出しをしようと思って振ってるだけだからヤバくはないだろ」
「ナチュラルな動きでそんな無茶苦茶なダメ出しをしようとしないでくださいっ!」
 彼はケラケラと笑い、コーラを振る手を止めると、よしよしと頭一つ分小さな後輩の頭をぽんぽんと叩いて宥める。
「とりあえず、大ニュースとやらを聞こうか」
「ホント自由に生きてますよね、先輩」
 ふてくされた顔を瞬時に笑みに変えた後輩は、「実はですね」と話を始めた。
「さっき道場の前に、それはもう女神のような美貌を持った絶世の美女がやって来てですね、『先輩を探している』って言ったんですよ!」
 目を輝かせ、若干顔も赤らめながら、キャーとかワーとか乙女のように騒ぐ後輩の頭を抑えて、彼は真剣な顔で考え始めた。
「女神のような美貌? 絶世の美女? 聞き覚えのあるフレーズだな・・・・」
 女性がらみの話であれば、スッポンのように喰らい付いては離れない彼が、実に実に珍しく話しに喰らい付いてこないため、後輩は騒ぐのをやめて驚きの声を上げる。
「先輩が女性がらみの話でまるで反応しないなんて・・・・だ、大ニュースですっ!!」
「なんか嫌な予感がするな・・・・」
 後輩の騒ぎっぷりに特に反応することなく、彼はしばし悩み続けたが、すぐその悩みは解決することとなった。


 先ほど後輩が駆けてきた場所から、女神のような美貌をもった人物が、女神の微笑みを浮かべて、ドスの利いた低い声で
「ガァァァァァァァァァァァァイっ!」
 なんて言いながら駆け寄ってきて、彼の10メートルくらい手前で軽やかにジャンプしたと思ったら、真っ直ぐに彼に顔面めがけて、その人物のとび蹴りを繰り出したのである。
「王女?!」
 唐突なというか、実に非常識というか、一般的にまずありえないというか、そんな行動に驚きつつも、彼は後輩の襟首をつかんでポイっと横へ軽く放り投げると、彼自身も向かってきたとび蹴りを寸での所でかわした。
「王女っ! 俺を殺す気か?!」
 タイルにひびが入る恐ろしい音を立てつつ着地を決めた女神のような美貌を持つ【王女】と呼ばれた人物は、彼にしては珍しく常識的なツッコミに、女神の微笑みを惜しみなく振りまきながら振り向いた。
「何を言うか。今のは単なる挨拶に決まってるだろう」
 先ほどの声もそうなのだが、見た目に反してものすごいハスキーボイスである。
「王女は挨拶で人を殺す気か?」
 女神の微笑みに対して、彼は普通の笑みを浮かべる。
「まさか。こんな愛情ある挨拶はガイにしかやらん」
 【王女】もまた、その美貌を惜しみなくふりまきながら、Vサインを彼に向けた。
「そんな歪んだ愛情はいりませんっ!!」
 【王女】の足元のひび割れたタイルを指差して、彼は叫んだ。


 その様子を、彼に放り投げられ、とび蹴りから逃れた後輩は、しばし呆然と見つめて座り込んでいた。
 そこに、道場から何人もの生徒達が、野次馬をしにやってきて、口々に好き勝手な野次を飛ばしはじめる。
 
 
「結局その人は誰なんですか? 先輩の恋人ですか?」
 【王女】のとび蹴りを目の前で見せられて、かなり腰が引けてはいたものの、座り込んでいた場所からようやく立ち上がり、恐る恐るたずねる後輩。
 尋ねられた【王女】は、まだ蕾のままの花をいっせいに咲かせるような輝く微笑みを浮かべて言った。
「俺の下僕」
『ぇえ?!』
 尋ねた彼の後輩だけではなく、周りで野次を飛ばしていた生徒達も一斉に目を丸くして叫んだ。
「真に受けるなお前らっ!!」
 下僕呼ばわりされた彼は、いつの間にかさり気なく組まれた腕を振り払おうとするが、力をいくら入れてもびくともしなかったため諦め、今度は嫉妬心だらけの野次に対してツッコミを入れる。


 その時、近くで本が数冊落ちる音がした。
 音のした方に振り向くと、栗色の髪が愛らしい小柄な少女のような女性が、目に涙をいっぱい浮かべて彼を見つめている。
 そして、しばらくした後、落とした教科書を急いで拾い上げて一言。
「ごめんなさい!!」
 そう言って全速力で逃げ去っていった。
 その様子をなんの弁護もできないまま見送るしかなかった彼は、しばらくするとまだ腕を組んでいる【王女】を涙目で睨みつける。
「王女! 今すぐ俺の青春を返せ!!」
「面倒だからやめとく」
 あっさりと断られた。
「返せー!!」
 まだ振りほどけない腕をそのままに、空いている手でごしごしと涙ぬぐった。
 その様子を見ていた一堂は、実にイライラとした表情で彼を見つめる。
「先輩。二股はよくないですよ二股は」
 男泣きをする彼に、後輩はそんな言葉を投げかける。
 それに習って、次々と野次が飛ばされる。
「そうだぞ、万年振られっ子!」「そんな美女が居ながら二股とは言語道断だ!!」「今すぐ彼女にひれ伏して謝れ!」「むしろ俺にくれ!」


「アホ抜かすな!! 王女は男だ! マイフレンドだコラー!!」
「ふんっ!」



『・・・・・・えっ?』



 空気が凍った。
 
 
 
 そして、しばらくの静寂の後、やっと声を出したのは彼、を呼び止めた後輩だった。
 
「先輩。僕は夢を見ていたみたいです」
「現実に戻ってこれたようで何よりだ後輩」
 後輩は【王女】に向けていた目線を彼にさっと戻し、ひきつった笑みを浮かべた。
「先輩。今日はもう死ぬ気でトレーニングに付き合います!」
 ガッツポーズをした直後、猛烈に道場へと駆け出す後輩。
 それに続いて、次々と野次馬をしていた生徒達も道場へ向かって走り出す。
「転寝をしたから今日はいつもより頑張れる気がするぜっ!!」
「男にときめいたなんていわないぜっ!!」
「すべては夢だこんちきしょう!!」
 これでもかというほどの現実逃避をし始めた一同に、組んでいた腕を放して【王女】がつぶやいた。
「お前ら似たもの同士だな」
「うっさいやいっ!」
 組まれた腕でずっと持っていた生ぬるくなったコーラを【王女】に渡し、履いている下駄をガコガコならして彼もまた道場へと戻っていった。
 【王女】は、生ぬるいコーラを飲む気はしなかったので、ぽいっとゴミ箱へ投げ捨てる。
 ゴミ箱へ入った直後、ゴミ箱からコーラの噴水が一瞬立ち上った。


 



「ん? なんで王女がここに?」
 爽やかなそよ風のように穏やかな声で【王女】に話かけたのは、手に持つ本が実に良く似合う眼鏡をかけた知的な青年である。
「アイツをからかいに来た」
 指をさした方向には、道場で声を張り上げて次々と相手を打ち負かす茶髪の青年が居る。それを見た眼鏡の青年は呆れたように眉を上げて笑った。
「そういう司書さんは何でここに?」
 【司書】と呼ばれた青年は、笑った拍子に少し下がった眼鏡を直しながら、手に持った本を持ち上げる。
「図書館への近道だからな」
「なる」
 【王女】は背を預けていた木から離れ、背伸びをしてから歩き出した。
「じゃあ、俺も一緒に行く。なんかいい本紹介しろ」
「はいはい」
 もう一度、道場のほうを向いて、床に転がって起き上がらない生徒が沢山居る中、元気に立って組み手をしている茶髪の青年を眺めると、やれやれとため息をついて空を軽く仰ぎ見た。
「そいいやさっき、泣きながら『あんな美人に勝てるわけないじゃない!』と叫んで逃げていく女の子が居たが、何か知っているか?」
「否、知らない。どうしたんだろうな」
 まったく自然に返ってきた言葉に、【司書】は苦笑いを浮かべつつも、「ああ、まったくだ」と、歩き出した。
 


 
☆ ☆ ☆





 とまあ、こんな感じに、ガイ君の恋愛は始まらずして終わる事が沢山あったりするんです。
 




 <次回へつづく!>





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↑ガイ君の応援よろしくお願いしま~す。





2008⁄10⁄08(Wed) 20:30
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(2) trackback(0)
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【 コメント 】



ガイ君待ってましたっ!!

……って割にはコメント遅くてすみません(・ω・`*)
なにげに一番好きなキャラなのでどんどん大暴れして欲しいですww
司書さんも気になるっ


それではまた~(*´∀`*)
2008/10/19 22:47 URL | ぷぅ [ 編集]

>ぷぅちゃん

おひさですよーヽ(´ー`)ノ

ガイ君は書いてる最中にあらぬ方向へ暴れてしまうので、いつも予期しない行動してるんですよねー。
困ったものです^^;

そういや受験シーズンですね。
そちらは大変そうだぁ。

もうちょっとしたらまたガイ君が暴れる作品ができると思うので、よければ暇を見つけて読みに来てみてください^^
2008/10/22 22:07 URL | yumi@管理人 [ 編集]
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管理人 : yumi
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備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

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