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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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Halloween Party yumiの場合
Halloween Party



 『来るハロウィンの夜に、貴女自身も知らない大切な " " を奪いに参ります。』








 
- AM 10:20 図書室 -


 宵闇の空に浮かぶ満月の日。
 それは彼女の下にやってきた。
「来るハロウィンの夜に、貴女自身も知らない大切な " " を奪いに参ります」
 パンプキンの顔が描かれているのが唯一のポイントのような、そこそこ上質そうな白いカードに書かれた、摩訶不思議なその内容を、自身のクラスの教室を覗けば、彼女が一番訪れる場所である図書室の、いつも穏やかな微笑を浮かべる青年司書が居る司書室で、うーんと唸りながら首をかしげた。
「見れば見るほど。読めば読むほど。謎なんですよねー、コレ」
 何度も何度も読み返し、カードを光に当てて透かし見たりしてみても、結局カードにはただこの文章だけが書かれているという事がわかっただけで、それ以上の事は何一つわからないまま、ハロウィン当日となってしまった。
「なんか悪い事だったら凄く凄く困るんですけど、かといって今からどうにかできるわけでもないし・・・・・・司書さん、この文章の意味、わかりませんかぁ?」
「もう少し早くに言ってくれればなんとかしてあげられたかもしれないけど、僕は推理は点で駄目だからなぁ」
 返却ボックスから回収した本を抱えて、彼女の座る席の机にどさりと音を立てておくと、手際よく管理番号に従い整理する。
「弟ならわかるかもしれないけどねぇ」
 ちらりと目線をあげてガラス戸で区切られた司書室から、図書室の窓際で本を読む少年を見た。
 少年は、この青年司書より十度くらい温度を下げた冷ややかな顔立ちをしており、似ては居るものの、感じ取れる印象が兄弟でまるで異なっていた。
 彼女はそんな彼と、よくこの図書室で顔を合わせているのだが、幸か不幸か、偶然か奇遇か、同級生でクラスメイトでもあるのに、一度たりとも言葉を交わしたことがなかった。
 だからこそ、自分から声をかけてみるという考えは一切頭に浮かばなかったし、他人から見れば馬鹿馬鹿しいとでも言える文章を、わざわざ話したことも無い人に、しかも学年トップクラスの頭脳を持ち合わせる人物に、聞いたところで馬鹿にされそうで、出来ればかかわりあいたくないとすら思っていたのだが、そこは身内と言うべきか、青年司書は弟を躊躇いもせずに呼び寄せた。
 迷惑そうな表情を浮かべ彼は司書室に入ってくると、彼女の背後に立って、手にしているカードを覗き込んだ。
「引っ掛けも何もないね。重要なのは " " だよ」
「え? もうわかったの?!」
 彼女が半月もの間悩んでいてもわからなかったのに、彼は直ぐにわかってしまったらしい。
 彼は自分の兄に目を向けて、眼鏡越しにすっと目を細めると、皮肉げに右側の口を吊り上げて言った。
「この答えは君自身が解くべきものだ」
「悪い事とか起きないよね?!」
「悪い事? どうだろう。事情は知らないけど、僕的には悪い事のようには思えないね」
 どう言う事かさっぱり分からないが、とりあえず、それほど悪い事も起きないだろうと彼女は結論付けて、タイミング良く鳴った鐘の音を合図に、さっぱりとした笑顔を浮かべて、図書室を後にした。
 その姿を見送っていた青年司書に、少年が尋ねる。
「ねえ、兄さん。今度は何をする気なの?」
「何がだい?」
「『空白』や『スペース』は文章として読む場合の普通の読み方。『そこにある何か』、『そこに書かれている何か』、とするのは予測をする、あるいはしている場合の読み方。これらが一般的。だけど、それはあくまで『読み手』の場合」
 眼鏡を押し上げて兄を見据える。
「この文章を読む場合は『書き手』に回らなきゃならない。でも、これを書いたのは、本来の書き手じゃないよね?」
「どうだろうね?」
 優しげな笑みはまるで崩れる事無くそこにある。
 それが返って異常にさえ見えるのだが、それを気にする人間は、閑散としているこの図書室には居なかった。
「どうせ僕を巻き込む気だったんでしょう?」
「我が弟ながら恐ろしく頭の回転が速いなぁ」
 青年司書はそういうと、弟に対していくつかお願い事をした。
 それを聞いた彼の弟は、面白そうに目元を細めた。
「そんな事なら手伝うよ」




- PM 3:45 体育館棟 空手部道場 -


「ガイ」
 彼は徐に友人の名を呼んだ。
 休憩中ではないが自主練習の状態であったため、友人はまるで気にする事もなく、彼の居る入り口までやってきた。
「兄さんから伝言。部活が終了次第、君の幼馴染を拉致って家に連れてくるように、だって」
 その言葉に何か悟ったのか、まるで悪ガキのような笑みを浮かべて了承すると、またすぐ練習へと戻った。
 ただ、戻る前に一度振り向き、彼に向けて尋ねた。
「司書代理も一緒に行く?」
「面白そうだからね」
 にやりと唇の端を吊り上げて答えると、「やっぱりね」と友人も笑った。





- PM 6:30 公園 -


 悪魔や天使、妖精にゾンビ、アニメキャラクターやメイドなど、思い思いの仮装をした子供達が、きゃいきゃいと騒ぎ、ぽてぽてと走り回る。
 そんな、良く言えばファンシー、悪く言えば奇天烈な集団の中に、彼ら四人は居た。
 全員燕尾服に身を包み、一人は蝶の仮面を付けてシルクハットをかぶり、一人はパンプキンのかぶりものにスティックを持ち、一人は馬のかぶりものに鞭を持ち、一人は白い仮面に襟の高いマントを羽織っていた。
「なんで拉致された挙句に仮装させられてるんだ? 俺は」
「ハロウィンだから♪」
「仮装しなくてもいいだろうが」
「まずは格好から、って良く言うからね」
「参加する理由も全く無いんだが」
「残念だなぁ。明日のお昼はおごってあげようと思ったのに」
 吸血鬼の格好をさせられた少年が、うっと声を詰まらせて、シルクハットの男を恨みがましそうに睨んだ。
 育ち盛りな上に運動部所属と言う事もあり、食事がタダで食べられるのは物凄く魅力的な話である。
 それを棒に振るのは流石に辛い。
 だから、彼は唸るように尋ねた。
「一体全体、俺に何やらせようって言うんですか、司書さん」
「いやなに、簡単簡単。ちょっとしたゲームだよ。さ、ガイ君、あれ出して」
「はいは~い♪」
 馬のかぶりものをかぶった少年が、胸ポケットから数枚のカードを取り出して、吸血鬼姿の彼に差し出した。
「内容は簡単。最後に尋ねる家でお菓子を貰う事。もしお菓子をもらえなかったら、このカードの中から選んだ悪戯を実行すること。それだけっ」
「お前らは?」
「見物に徹する」
「・・・・・・性質が悪い」
 ただし、反論しようにも、吸血鬼姿の彼は、目の前の三人に勝てた試しがないため、大きなため息を付いてカードを引いた。
 そのひいたカードをカボチャ頭の少年がさっと奪い取り、内容を確認する。
「なんだ。ハズレか」
「え? 何が当たった~?」
 馬のかぶりものでは、目の前があまりよく見えないため、馬の口からカードをつっこみ、中身を見た。
「あれ、ほんとだ。つまーんなーい」
 見終わったカードを引いた本人に渡すと、彼は顔を引きつらせて硬直する。
 その硬直した彼の手元をすっと下げて、シルクハットの男が愉快そうに微笑んだ。
「期待してるよ」
 ぽんと肩を叩いて励ますと、さて、行こうかと継げて、カボチャのランタンが灯る家に向かって歩き出した。





- PM 8:00 某住宅玄関口 -


「Trick or Treat」
 準備しておいたお菓子が全てなくなったので、彼女はランタンの火を消そうと表に出た時にその声はした。
 見ると、燕尾服の上に襟の高い外套を纏い、顔の上半分を白い仮面で隠した、恐らく彼女とそれほど歳の離れていない少年と思しき人物が居た。
「ごめんなさい。ついさっきお菓子がなくなっちゃったんです」
 そう伝えると、その彼は大いに驚き、というか動揺し、飴玉一つでも構わないからくれないかと言った。
 あまりに必死そうに言うものだから、彼女はポケットに一つだけ残っていた飴玉を手渡すと、彼はほっとした様子で、有難うといった。
 ただ、その姿がどうも誰かに似ていると思い、彼女は彼を見上げて思わず尋ねていた。
「もしお菓子を渡せなかったらどうかなったのかな?」
 その問いに、彼は一瞬体を硬直させると、意を決したようにしてすっと前に踏み込み彼女に密着すると、見上げた彼女の顔に息がかかるほどに己の顔を近づけて、彼女の唇に人差し指をそっと当てた。
「内緒」
 最後に、魅力的な微笑を浮かべると。
「では、お騒がせしました」
 と優雅に一礼して、風のように去っていった。
 その後ろを、紳士とパンプキンと馬の仮装をした人物が、のんびりと歩いていく。
 彼女はランタンの火を消すのも忘れ、顔を真っ赤にして呆然とその場に立ち尽くした。





- 翌日 AM 8:00 図書室 -


「という訳なんですよ!」
 午前中の授業を取っていない日であるにもかかわらず、彼女は開館すると同時に図書室へやってきた。
 そして、耳まで赤く染めながら両手を頬に当てて、彼女は昨夜の出来事を青年司書に話していた。
「すっごく彼に似てて、すっごくすっごくハンサムで格好よかったんですからぁ!!」
「そうだったのかい? それは是非僕も見て見たかったなぁ」
 にこにこと穏やかな微笑を浮かべて、時に驚き、時に頷きながら、青年司書は彼女の話を楽しそうに聞き入った。
「いっそ、今度思い切って話しかけてみたらどうだい?」
 大分熱が収まってきたころに、青年司書が彼女にそういうと、彼女はぐっと唇を噛み、スカートの裾を巻き込んで両手に拳をつくった。
「やっぱり、そうすべきですよね・・・・?」
 上目遣いで尋ねられ、彼は「そうすべきだと思うなぁ」と優しく微笑んだ。
 そして、図書室の窓から見える空手部の練習風景を眺める。
「後悔先に立たず。だよ。大丈夫、彼は優しい子だよ」
 目線を彼女に戻して、頭をぽんぽんと撫でた。
「今こそ乙女の頑張りどころ。じゃ、ないかな?」
「そう・・・ですよね・・・・・・」
 彼女はゆっくりと顔を上げた。
「頑張ってみますっ!」
 そう言って、彼女は荷物を持って図書室を後にした。
 その彼女と入れ違いに入ってきた、青年司書の弟が、ずれた眼鏡を直しつつ、意地の悪い笑みを浮かべる。
「兄さんから、悪魔の尻尾と羽が見えるようだよ」
「乙女の恋路を手伝った僕に対して、それは無いんじゃないかなぁ?」
「あのカード。結局誰が書いたんだ僕はしらないけど、答えは『想い』だよね」
「当たり。まあ、真実は知ら無い方がいい事もあるよ」
 意味深げにそういうと、弟と似た意地の悪い笑みを浮かべた。
 すると、図書室の窓からみえる風景に新たな人物が現れた。
 先ほど図書室を後にしたセーラー服姿の小柄な少女だ。
 鞄を抱えてこわごわと歩いてゆく姿が、遠めで見ると実に可愛らしい。
 その様子を一人は心配そうに、一人は面白そうに眺めていると、少女がぱっとこちらを向いて、小さくガッツポーズをした。
 
 
 
 
「悪戯成功」





 そして、いつもと変わらぬ朝が始まった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 - Fin -





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2008⁄10⁄31(Fri) 23:55
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(8) trackback(0)
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【 コメント 】



スゴイ!本格的ですね(´∀`*)♪
読んでて引きこまれちゃいました( ´艸`)♪
イヤー、まさか恋愛も絡んでくるとは( ´艸`)♪
こういうイタズラならされてみたいヘ(゚∀゚*)ノ♪

と、はじめましてです(´∀`*)エヘヘ♪


2008/11/01 14:55 URL | 郁貴 [ 編集]

こんにちは(=゚ω゚)ノ
はじめまして、コメントありがとうございました^^

きゃー(/ω\*)
素敵な悪戯ですね!
私もこんな悪戯されてみたいです(ノ´∀`*)

そしてそして小説かかれてるのですね。
このお話好きです♪
時間があるときに他の作品も
読まさせていただきますね(´∀`*)
2008/11/01 16:42 URL | さと [ 編集]

こんばんは^^
お名前はよく拝見しています

謎解きですね
ふむふむと 考えながら読みました
青年司書って 実はちょっと珍しいですよね
学校の図書室は 「図書室のおばさん(おねえさん)」が多いような…
こんな司書の先生がいたら 女子生徒が入り浸っちゃいますね!

締めの文章が好きですね♪
2008/11/01 18:34 URL | 恵以子 [ 編集]

>郁貴さん

はじめまして^^

ハロウィンって恋愛が絡みそうじゃないイベントなイメージだったので、
あえてやってみましたw

結果。難しかったです。非常に・・・・^^;

まあ、こういった物語もあるかなぁ程度で、楽しんでいただけたなら幸いというものです。

2008/11/02 11:51 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>さとさん

はじめましてー。
いやぁ、ぬいぐるみとか誰か作ってくれないかなってくらい、可愛かったものですからw

気に入っていただけて嬉しいです。
私も書いている最中、こんな悪戯あったらいいなと思ってました。
むしろ羨ましいです。非常に。ちくせう。

他の作品も読んで楽しんでいただけたらうれしいです^^
2008/11/02 11:58 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>恵以子さん

私もよくお名前は拝見してましたー。

確かに、青年司書ってあまり見かけないですねえ。
大きい図書館とかになら時折見かけるんですが、女性の方が断然多い気がしますね。

私も、こんな司書さんがいたら毎日通ってガン見しますw
2008/11/02 12:03 URL | yumi@管理人 [ 編集]

こんにちは、初めまして
コメントありがとうございました!

悪戯のレベルが高いです
オトナの悪戯ですね

一仕事終えたあとに迎える、いつもの変わらない朝っていうのはいつも以上に清々しいでしょうね

そして罰ゲームの中身…気になります
2008/11/03 15:44 URL | tone [ 編集]

>toneさん

はじめまして。
いえいえ、こちらこそコメントありがとうございます。

一仕事終えた後の朝は、そりゃあもう清々しい朝だと思いますw

罰ゲームの中身は、近々書く予定ですので、またこっそりのぞきに来ていただければわかるやもしれませぬ^^
2008/11/04 22:21 URL | yumi@管理人 [ 編集]
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管理人 : yumi
年齢 : 26
性別 : 女
職業 : SE
備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

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