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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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心、弾む
短編小説  【心、弾む】








「ねえ、聞いてる?」
「聞いてるよ」
 読んでいる本から顔を上げることすらせずに、そっけない言葉だけが返ってくる。
「答える時くらいこっち向いてくれてもいいじゃん」
「・・・・・・何で?」
 下がった眼鏡を押し上げて、やっと顔をこちらに向ける。
 表情は、冷え込んだ外の空気と同じくらいに冷え冷えとしている。
「反応が冷たい」
 むすっとした表情を浮かべた自分の顔が、彼のかけている眼鏡のレンズにうっすらと写る。
 その奥に見える彼の瞳にも、私の姿は映っているのだろうかとふと思った。
 すっと、彼の目が細められ、不機嫌に右眉だけが器用につりあがる。
「勝手に人を冷徹男にしないでもらいたいな」
 表情と同じく不機嫌な声。
 けれど、不思議なくらいに、彼の瞳は優しい色をしているのは何故だろう。
「そこまでは言ってないよ」
「言いそうだったから」
「言わないよ」
「どうだかね」
 ふっと左側の口が釣り上がる。
 見る人皆に、不適で意地悪そうな印象を与える左右非対称な表情。
 あまり表情の多くない彼なのに、こんなに器用な表情が出来るのは何故だろう。
 勉強も、運動も、器用にこなす彼だけど、それとはまた別意味で器用だなと思う。
「意地悪」
 たった一言で、あっという間に表情が元に戻る。
 だからいつも、私は彼の心がまるで読めない。
「君はさっきから僕に何が言いたいの?」
「別に」
 大きなため息。
 その後、彼は読んでいた分厚い本をパタンと閉じ、私を見つめて小さく笑った。
 その笑みは、悪戯小僧のようだった。
「赤鼻のトナカイみたいだ」
 寒さで肌が赤くなったのだろう。
 きっと、鼻の頭は、彼が言うような状態なのだと思う。
 彼は、そういった所は正直だから。
 けど、その言い方はあんまりだよ。
「失礼なっ」
 顔を逸らすと、面白そうな声色で、彼の言葉が返ってくる。
「褒めてるのに」
「遠まわし過ぎてわかんない」
「可愛い」
 完全な不意打ち。
 それは、ずるいよ。
「・・・・・・嘘吐き」
「文句多いよ」
 呆れた顔で見つめ返してくる優しい彼の瞳から目が離せなくなる。
 私は苦し紛れに言い返すくらいしかできないのに。
「女心は変わりやすいのっ」
「へぇ・・・・・・」
 眼鏡を押し上げ、愉快そうに目を細める。
 彼は、まるで動揺しない。
 心を動かされるのはいつも私。
「もういい」
 着たばかりなのに席を立つ。
 寒かったのに、今は暑いから。
「帰るんだ?」
「いけない?」
「別に」
 彼はそっけなく答えると、隣の席に置いていた自分の荷物からマフラーを取り出し、巻いてくれた。
「寒そうだから」
 やっぱりずるい。
 そっけないくせに、たまに優しくしないでよ。
「自分は寒くないの?」
「寒いだろうね」
 じゃあ何で? とは聞かない。
 きっとはぐらかされるだけだから。
「ありがと」
「うん。気をつけて」
 そういうと、彼はまた本を開いて読書を始める。
 何気なく、ちゃんと私に合わせてしっかりと話を聞いてくれていた事に今更気づく。
 本当に本当にずるいよ。
 私ばかり好きになってく。
「またね」
「またね」
 そっけない言葉なのに、私の心は弾む。
 その言葉は、「また来てもいいよ」と言う合図だから。



 彼の香りのするマフラーに顔を少しうずめて外に出る。
 寒いけど、暖かい、不思議な感覚。





「ずるいなあ、もう・・・・・・」
 





 
 私の大好きな彼。 

 そっけないけど。意地悪だけど。

 とっても優しい、私の大好きな彼。





 
 
 ねえ。
 









 
 明日はもっと、好きになってもいいんだよね?






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2008⁄11⁄09(Sun) 22:45
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
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管理人 : yumi
年齢 : 26
性別 : 女
職業 : SE
備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

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