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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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ガイ君の恋愛受難 受難其の弐
ガイ君の恋愛受難


受難其の弐  『その理由は傍にあり?』








「「「ガイ先輩!」」」
 本日の活動を終えた空手部員達が着替えている更衣室で、彼の後輩部員である数名が彼を呼んだ。
 ついでに後輩の一人は抱きついてきた。
「やっぱりガイ先輩の腹筋は最高です! って、違った。ガイ先輩! 助けてください!」
「教訓。男に抱きつかれて腹筋最高とか言われても全然ときめかない。で、なんだい? 我が後輩達」
 抱きついた後輩を早々に引きはがし、タオルで身体を拭いて長袖の白いシャツを着、擦れて薄くなった部分が少しグリーンがかった暗い色のジーンズを穿く。
 流石空手部員というべきか、皆一様に筋肉質で見事なまでの逆三角形を描く体系をしているためか、彼と同じ用に、シンプルな格好をする者たちがほとんどなのだが、彼は同じような格好をした者と比較すると、桁違いに見栄え良い。
 彼の友人いわく。「自然が作り出した彫像のような豪快な男らしさがある」という顔立ちが、彼の魅力を最大限引き立てているのは間違えないだろう。
 黙っていればモテるというのは伊達ではない。
「明後日、先輩の力を是非貸してください!」
 すでに着替えを済ませた後輩部員が、顔の前で両手を合わせ、拝み倒すかのようにそう言った。
「どゆこと?」
 少ない荷物を手早くまとめ、ロッカーの扉を閉めると、彼は首をかしげた。
「彼女の居ない僕らにチャンスを!」
 本気の目をした後輩たちに若干たじろいだ彼は、次の言葉を聞いて天を仰いだ。
「「「合コンに付き合ってください!」」」


 というわけで(どんなわけだ)、今回もまた彼の恋愛話を一つお届けしましょう。





☆ ☆ ☆







 大学の図書館で、彼は高校からの友人が読書をしている席の目の前に座り、両手を前に放り投げた状態で上半身を机に突っ伏し、顔だけは友人の方に向けて不貞腐れていた。
 高校時代からの友人で、親しい人間には毒気のある性格をもろにだし、それ以外には極めて愛想のよい人物である。
「でさぁ、聞いてよ司書代理~」
「さっきからずっと聞いてるよ。それと、代理じゃないから」
 そう答えながら、本から目を離すことはない。
 少しも聞いていなければ反応は返ってこないのだが、返事が直ぐに返ってくるところからして、要所要所は聞いている事がわかる。
 結構器用だ。
「司書でもないじゃーん」
「代理を抜かせと言ったわけじゃない」
「俺にとっては司書代理は司書代理。司書さんは司書代理のお兄さんなのっ」
「……あっそ」
 盛大に溜息をついて、友人はパタンと本を閉じた。
 どうやら真面目に話を聞いてくれる気になったらしい。
「で。合コンに出たはいいけど、後輩たちに最初以外は特別話すな笑うなと言われてひたすら飲み食いした挙句に追い出されて何が不満なわけ?」
「わー。本を読みながらちゃんと話聞いてたんだねー。というか、要約して言うと相当ひどくない? 後輩達の俺の扱い」
「別に」
 別に、が前者と後者どちらに対して言ったのか、非常に気になるところではあるが、どちらも、という線もあるので聞くのが何となく怖かったりするので、彼はあえて聞かなかったことにした。
「後輩思いな俺ってば、ちゃんと後輩から頼まれたように、最初以外はひたすら無言を通したわけよ。お陰で成長期な俺の胃袋はめっちゃご飯で満たされたわけだけども。しかも無料で。ああ、なんて素敵な響きなんだ、『無料』って。てなわけで、そんな健気な俺が何故追い出されたのか謎なわけですよ」
 途中の要らない感想はさておき、結局彼が一番気になって居るのは追い出された訳なのである。
 流石に高校からの付き合いである友人は、その無駄具合が素晴らしい彼の言葉を必要ないところを右から左に器用に素通りさせて、答えた。
「邪魔だったから」
 ズバッと斬った。
「いや、もちっと詳しい説明を……」
 でも彼はめげなかった。
「目ざわりだったから」
 グサッと刺した。
「……惜しい、もう一声っ!」
 それでも彼はめげなかった。
 と言うか競かなんかかこれは。
「黙ってればガイはまともに写るんだよ。だから邪魔で目ざわりだった」
「ちょいまち。俺常日頃からまともなんだけど?」
「普段の君がまともと言われるようになったら、その他大勢の人は恐らく聖人だよ」
 褒めているような貶しているような、貶しまくっているけどちょっとだけ褒めてるような、実に微妙な具合である。
 彼はがっくりと顔もつっぷして「のぅ~」と嘆く。若干投げやりで。
「まあ。どうせ合コンでしょ。見つかるわけないよ。君を受け入れられる聖母のように慈悲深い人なんて」
「俺は極悪非道の罪人かなんかですか」
「安心しなよ。ただの変人だから」
「わーい、ありがとー」
 実に実に投げやりだった。
 それを見た友人は、掛けている眼鏡を押し上げて、仕方無げに目を細めた。
「飲みに行くなら付き合ってあげてもいいよ」
 ちょっとした優しい友人の言葉に頬笑みながら、彼は首を振った。
「いいですー。でもその代り買い物に付き合ってくださいよー。っていうかそっちが本題」
「買い物?」
「そ。これからミツ君とお買いものなのです」
 彼の幼馴染の愛称を久しぶりに耳にした友人は、興味深げな表情をした。
「何の?」
「ジュエリーショップって言ったらお分かりいただけますかね?」
 その瞬間、滅多なことでは驚いた表情をすることが無い友人の顔に、その滅多にない表情が現われた。
「……指輪? 誰に? ありえないとまでは言わないけど、唐突……」
 そこで言葉が途切れると、合点が行ったかのように、確信めいた色が眼鏡越しの瞳に浮かんだ。
「もしかして、あの時の彼女? ハロウィンの」
「いえーす」
 彼はやっと体を起こして椅子を座り直すと、外見を一層軽そうに見せる柔らかいパーマのかかった茶色い髪の前髪をちょっと引っ張り離した。
「あの時は司書さんも含めて遊び半分で応援してたけど、まさかここまで続くとは思いもしなかったよねー」
 当時の事を思い出して、愉快気に楽しそうに目を細め、唇の端が釣り上る。
「あの時初めて気づいたよ。ミツは天然系たらしだって」
「あ、やっぱりそう思う?」
 お菓子をもらえなかったらどんな悪戯をするのかという問いに普通に答えればいいものを、それをしないでキス寸前な行動を取るあたり天然だ。
 普段は古風な外見に似合った古風な性格なのに、いざとなると二人の想像を超える、愉快で見ている方が恥ずかしくなるような行動を取るのだ。
 それを天然系たらし以外のなんと言えようか。
 ちなみに悪戯は「くすぐること」である。
 どう考えても説明の方が楽であるし、やったとしても悪戯の方が大分マシである。
「いいよ。付き合う。久しぶりに楽しめそうだし」
 周りに華が咲いたかのような魅力的な笑みなのに、悪魔のような黒い羽根と尻尾が見えるような表情を見て、彼はぽつりとつぶやいた。
「そういう所、そっくりだよなー、司書さんに」
「何か言った?」
「なんもー」
 一気に温度を一〇度くらい下げた無表情に戻った友人に軽い調子でひらひらと手を振り答え、席を立った。




 一方その頃。
 合コンから彼を追い払った後輩たちは、大学近くのファミリーレストランに集まり、思い思いの暗い顔で頭を抱えて呻いていた。
 アルバイトの男性店員が若干引き気味になるほど、彼らの座る席だけやたらと空気が暗い。
「何故だ……何故全員撃沈する羽目に……っ?!」
 ドリンクバーの元手を余裕で取る勢いでジュースをやけ酒の代わりにしている彼の後輩たち。
 テーブルを見つめ、両手にこぶしを作り、苦々しく絞り出した声で、つぶやいた。
「しゃべらないように、出来る限りそっけないように、とにかく最初の流れつくりの時以外は食事だけ食べてそこに居ればいいからと念を押した上、その言葉を忠実に守ってくれた先輩に文句を言いたくはない。言いたくはないがっ」
 バンっ! とテーブルを叩いて嘆いた。
「何故全員が同じ理由で撃沈しなきゃならない?!」
「「「そうだそうだ!」」」
「モテるのはいいですけど、そこまでモテ無くてもいいじゃないですか?!」
「「「そうだそうだ!」」」
「万年振られっ子なくせにぃ~」
「「「そうだそうだ!」」」
 つまるところ、見栄えし話を盛り上げてくれる人材として選んだ自分たちの先輩が、想像を絶する強敵具合を発揮したせいで、結果的に撃沈したということである。
 途中で危機を察して先に帰ってもらったにも関わらずである。
 そりゃあ八つ当たりしなくもなるのも解らなくはない。
「今度は他をあたろう。ちなみに王子先輩と姫先輩は却下だ」
「……そういやさ。ガイ先輩のお友達って、やたら見栄えがいい人達ばっかりだよな」
 何気なしにつぶやかれた言葉に、後輩一同、一気に言葉を無くす。
 そういやそうだなと。
 彼の友人はかなりの確率で道場に顔を出すため、自然と顔見知りになり仲良くなったわけだが、よくよく考えると、彼が居るから出会えたような者たちばかりのように思える。
「あれ……? 今なんとなく思ったんだけどさ。ガイ先輩が振られる理由って、それがあるんじゃ?」
 再び全員押し黙る。
「「「ありえる」」」
 そう言うと、若干可哀想に思えてきたらしく、また今度もお願いしようかなどと声が上がったりもするのだから不思議なものである。
「よし。もう過ぎた事は忘れよう。今日はとにかく飲んで忘れよう!!」
 こうして後輩たちは変な具合に盛り上がりながら、ジュースで飲み明かしたのである。
 飲み明かした次の日の惨劇についてはご想像にお任せするが。





☆ ☆ ☆





 ガイ君の振られ続ける原因の一つは、意外とそばにあったりするわけです。






<次回へつづく!>





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2008⁄11⁄30(Sun) 00:58
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
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