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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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Christmas Party yumiの場合 - サンタクロースの贈り物 -


ほんのちょっとだけ、素敵なクリスマスを皆様に――――――。









 旦那様に購入していただいた冬用のタキシードに袖を通し、黒の蝶ネクタイが曲がっていないか、オールバックにした髪形が乱れていないかを確認して、白い手袋を最後に身に付ける。
「さて。本日も始めましょうか」
 全身鏡で最後にもう一度自分の姿を確認した後、私の一日の仕事が始まります。
「おはようございます。旦那様」
「ああ、おはよう」
 朝の目覚めが早い旦那様は、私が訪れるよりも前に起きている場合が週に何度もあります。
 普通であれば、旦那様よりも遅いのはあまり宜しくはないのですが、我が旦那様は遅れてやってくる私をとがめる事などいたしません。
 私が執事(今回の場合、英国のバトラーを意味する)として雇っていただいた最初の頃は大変慌てたものですが、旦那様は笑ってこう私におっしゃいました。
「何、気にする必要は無い。単にお前が慌てる姿が面白そうだと思って早起きしただけだ」
 いつもは厳粛な表情をなさる旦那様が、まるで悪戯っ子のような微笑みを浮かべてそうおっしゃったので、私は諦めて、特別な場合を除き、決まった時刻に起きる事にしたのです。
 モーニング・ティを飲み終えた旦那様の着替えを手伝いながら、今日のご予定を伝え、着替えが終わると、厳粛な表情に変わった旦那様と共に食堂へと向かいます。
 その道すがら、旦那様ははたと立ち止まり、白髪交じりの顎をさすり、私を振り返ります。
「もうすぐあの騒がしいクリスマスだな」
「左様でございますね」
 昨年、旦那様のお子様が丁度やんちゃざかりだったのもあってか、私がこのお屋敷に仕えた中で最も騒がしいクリスマスたのを思い出し、思わず苦い笑いが出てしまいました。
「今年もきっと大差ないだろう。苦労をかけるな」
「いいえ。お気になさらないでください」
「まあ。お前も忙しすぎて、メイド達の手からは逃れられるのだから良い事なのかもしれぬがな」
 思わぬ言葉に私は一瞬足を止め、小さく方をすくめて再び歩き出しました。


「流石ですね。ばっちり見抜かれてますよ!」
 そう愉快そうに笑いながら言ったのは、馴染みの仕立屋で働く女性でした。
 彼女は私よりも少々年若く、二十半ばほどの年齢で、見た目でいえば地味な方と言えますが、内面から溢れ出る美しさは外見だけの女性とは比べ物にならないほど美しい方です。
 また、女性にしてはさばさばとした性格をしており、良し悪しにつてハッキリと物を言う人物でもあり、旦那様お気に入りの店員でもあります。
「はい。頼まれていたのはこれですね。全部そろっているか確認してください」
 注文の品が入った箱をいくつか持ってきて蓋を開け、彼女自身も中身をチェックする。
 品物はちゃんと全てそろっているようで、一つ頷き納品書とペンを私に渡して、一度店の奥へと向かっていきました。
 その際、首の後ろで括っただけのダークブラウンの長い髪が、猫の尻尾のように揺れました。
 その後姿が、とても愛おしく思えるように感じたのは、私が始めてこの店にやってきた頃からで、彼女にお付き合いをしている方が居ると知らなければ、私はこうも、彼女と親しく居られなかったかもしれません。
 店の奥から紙袋を持って戻ってきた彼女は、書き終わった納品書にサインが入っている事を確認した後、私にその盛ってきた紙袋をくれました。
「これ、よければ使ってください」
 手渡されたのは、私の名前が刺繍されたワイン色をした手編みのマフラーでした。
 何故私にと尋ねると、優しく微笑んでこう答えました。
「いつもご贔屓いただいている旦那様の、大変ハンサムで有能な執事さんに、ささやかながらですが、ちょっと早いクリスマスプレゼントです。あ。これ、店長には内緒ですよ? ばれたら、もっと働けー! って言われちゃいますからっ!」
 唇に人差し指をあて、小さくウィンクする姿が、なんとも素敵でした。
 ですが、何故でしょう。
 大変嬉しかったのですが、何か違和感を感じたのです。
 その違和感がなんだったのか、私はこの時は結局気づけませんでした。
「では、ありがたく受け取らせていただきます」
 笑顔で答え、注文した品物を手に取ると、シルクハットをかぶり店を後にしました。
「また是非いらしてくださいね!」
 そう言って見送ってくれた彼女の表情が、少し悲しげに歪んだのは気のせいかなと思いながら。



 クリスマスイブがいよいよ明日となったこの日。
 クリスマスパーティーで使用する品物でまだ不足しているもの、主に旦那様のお子様へのプレゼント ですが、それを買うために街へ出ていた時のことです。
 荷物を積み終えた馬車に乗り込もうとした矢先、聴きなれた声が私の名を呼びました。
 私は既に乗り込んだ使用人に先に屋敷に戻るよう伝えて、自身はシルクハットを被り直し、声のした方へと振り返りました。
 首に巻いた雪のように真っ白なマフラーに顔の下半分をうずめて雪で滑らないよう慎重な足取りでやってくる、愛おしい彼女の姿を見つけました。
「こんにちは、ハンサムな執事さん」
 いつもは首の後ろでひと括りしているダークブラウンの髪は、寒いからなのか、括らずそのままにしており、店でお会いするよりもずっと女性らしく、魅力的でした。
「こんにちは」
 シルクハットを少し上げて礼をすると、彼女もスカートの裾をつまんで慎ましそうに挨拶を返します。
「もしかして、丁度お屋敷に戻るところを引き止めちゃいましたか?」
「タイミング的にはそうでしたが、実は呼び止められて、忘れていた予定を一つ思い出したんです。だから、むしろ感謝しなければなりませんね」
「まあ! それはいいタイミングでしたね!」
 くすくすと笑って、白い吐息が宙を舞いました。
 その時、口元に持ち上げた左手を見て、ふとあることに気づきました。
「寒さであかぎれてしまっているようですね。痛くはありませんか?」
 手袋をしていなかったためか、寒さで赤く、ところどころ小さな傷ができており、とても痛々しく見えたので、思わず私は彼女の手をとり、己の手で暖めようとした時です。
 先日会った際に違和感を感じた理由がわかったのです。
 それは、左手の薬指にいつもはめられた銀色の指輪がなかった事でした。
「実は今朝、近所の子供達と雪遊びをしていたときに、手袋が大分濡れてしまったんですよ」
「それはまた・・・・・・」
 私は己の手袋を外し、己の手で彼女の冷え切った手を少し温めてから、外したばかりの手袋を、彼女の手にはめました。
「少々大きくて不恰好ですが、お使いください」
 驚いたようで目を見開き、私を見つめる彼女の顔が優しく歪みました。
「ありがとうございます」
「いいえ。紳士として、当然の事をしたまでです」
「マフラーも」
「大変感謝しております」
 寒さではない理由で、自分の顔が少し熱くなるのを感じました。
 本当に。本当に。
 こんな時に限って、まったく上手く返事の出来ない自分が不甲斐無いです。
 わざとらしく胸ポケットから懐中時計を取り出し時間を見ると、そのしぐさに、彼女ははっとした表情となりました。
「ああ。すみません。用事があるんでしたよね? ご挨拶だけと思っていたのですが、大分足止めをしちゃいましたね。大丈夫ですか?」
「失礼。気分を害されたのなら申し訳ありません。いえ、問題ありませんよ。貴女とお話している時はつい楽しくて長々話をしてしまうのは私の癖なのです。旦那様もそれはご存知ですから、きっとまたかと呆れて許してくれますよ」
「まあ!」
 指の先が余った手袋をした手を両頬に当てて驚いて、そして、少々不恰好な状態なのを理解し、お互いに笑いあいました。
「じゃあ、私もそろそろお店に行かないといけませんし」
「ええ。お気をつけて」
 シルクハットを軽く浮かせて礼をして、彼女と別れました。
 そして、私は急に寒くなった手を少し擦り合わせ、屋敷とは違う方向へと足を向かわせたのでした。




 クリスマスイブの夜が開け、クリスマスとなった早朝に、私は旦那様に許しを得て、一人街へと出ました。
 雪降っていなかったのですが、早朝の冷え込みは大変なもので、彼女にいただいたマフラーに口元をうずめ、足早に歩きました。
「今日はとっても早いお越しで!」
 店を開ける準備をしていた彼女が、明るい笑顔で迎えてくれました。
「おはようございます」
 シルクハットを上げて挨拶しようとしたら、そういえば今はタキシードではなかった事に気づき、思わず笑ってしまいました。
「実は、今朝起きたら、私の所にサンタクロースから贈り物をただいたのです」
「まあ! それは素敵ですね! どんな物を頂いたんです?」
 ポケットに入れておいた、ラッピングすらしていない小箱を取り出します。
「開けて中身を見たのですが、どうにも私向きの物ではなかったのでどうしようかと思ったのですが、貴女ならと思いまして」
 私が差し出した小箱を少し戸惑ったような感じで、それでもちゃんと受け取ってくれました。
「開けても構いませんか?」
「ええ。どうぞ」
 そして、小箱を空けた瞬間、彼女は目を見開き驚いて、その表情を私に向けました。
「こんな・・・・・・頂けません?!」
「似合うと思ったのですが・・・・・・」
 私は小箱の中から銀色の指輪を取り出し、左手を掴みました。
「私は結構ずるい男なのです。貴女のこの薬指に指輪がない事に気づいて、私はその空いた薬指に、私の思いを、愛を、その証拠を、身につけて欲しいと思ってしまったのです」
 掴んだ左手が、冷えた空気に触れているのにもかかわらずとても温かい。
 そう感じた時には、彼女の頬を雫がこぼれ落ちました。
「・・・・・・欲しいです。ください」
 零れ落ちた雫はたった一つだけで、後は笑顔だけが残りました。
 私はそっと彼女の左手の薬指に指輪をはめると、彼女はその指輪をまじまじと見つめ、少し悪戯っ子のような表情で言いました。
「お屋敷に勤めている女性には恨まれちゃいそうですね?」
「その時は私に言ってくださいね? 私は、貴女を傷つける人は、男女問わず許す事などできないくらい嫉妬深い男ですので」
 お互い、本気のような、冗談のような、そんな会話をして笑いあったあと、ほんの数瞬の間だけ、そっと唇を重ね合わせました。
 お互いの唇が離れた後、彼女が冗談めかして言った言葉に私は思わずまた笑ってしまいました。
「サンタクロースさんに感謝しないと!」




- サンタクロースの贈り物 -






2008⁄12⁄24(Wed) 21:00
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(6) trackback(0)
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【 コメント 】



メリークリスマス。イヴですけれど。

素敵でした。
甘くて、甘くて、優しくて。

執事に就職しようかと思ってしまいました。



yumiさんも、素敵なクリスマスをお過ごしください。

2008/12/24 21:25 URL | 林檎 [ 編集]

素敵な お洒落なクリスマスですね^^
登場人物も文章も スマート!!

ワイン色のマフラーが 行き先をかえてよかったと思えるよう
二人には幸せになって欲しいです

2008/12/25 01:23 URL | 恵以子 [ 編集]

おぉぉ~~~!!
やっぱり、yumiさんのお話好きです(/ω\*)
想像しながら読まさせていただきました☆
このあと、2人が幸せそうにしてる様子が
目に浮かびました(*‘ω‘ *)
2008/12/25 23:54 URL | さと [ 編集]

>林檎さん

メリークリスマス!
コメント返しの今日はもうクリスマス過ぎてますけどっ。

>執事に就職しようかと思ってしまいました。

林檎さんの執事姿・・・・・ちょっと興味ありますねぇ・・・・。
一日でもいいからやってみるというのはアリな気がしますw
どうですか?w
2008/12/26 21:57 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>恵以子さん

久しぶりの長文でしたので上手く書けていたどうかはかなり心配でしたが、なんとか素敵でお洒落なクリスマスと感じていただけたようで、大変嬉しくに思っています^^

今後二人が幸せでいてくれたらと、私もそう願っています。
2008/12/26 22:04 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>さとさん

おぉ~~?!
このような拙い文章でも、好きと言っていただけるとは、大変光栄ですっ^^
脳を妄想モードに切り替えて、ビバ妄想! と思いながら頑張って書いたかいが少しはあったでしょうか?w

このあとはきっと、どつきたくなるようなくらいに、二人は甘あまで幸せな人生を送っているに違いないと私は思います。
ちょっとだけ、こんちきしょーですねw
2008/12/26 22:14 URL | yumi@管理人 [ 編集]
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管理人 : yumi
年齢 : 26
性別 : 女
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備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

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