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心、舞い上がる
短編小説  【心、舞い上がる】 ~ a Christmas present ~







 夕日の光を浴びた時。
 それは、彼のミステリアスな表情をした顔が、一層魅力的に見える瞬間。
 私は、それが、たまらなく好き。
「ねえ」
 そう、声をかけたところで、彼は私を見向きもしない。
 分厚く一頁にぎっしりと書かれた横文字の本を、私には真似出来ないほどの速さで、彼の手が次々と頁を捲って行く。
「ねえってば」
 目の前で黙々と本を読みつづけている彼の本を持つ手の裾を小さく引っ張った。
 いつもそう。
 そうやらないと、彼は私に気づいてくれない。
 無駄が嫌いな彼らしく、とても短い返事が返ってくる。
「何?」
「ずっと呼んでたのに」
「用が無いなら他を当たって」
 あっという間に目線が本へと戻ってしまう。
 彼の友達の場合は、声をかけられればしっかり本を閉じて話しを聞くというのに、私の場合はそうじゃない。
 そんな些細な行動の違いで、自分と彼との距離が、決して近くはないのだと、いやが上にも思い知らされる。
「・・・・・・意地悪」
 小さく零れた言葉に、彼は座っていた椅子を少しひき、正面に居る私と完全に向かい合わせにならないように、本を持った左側の肘を机に載せて、目線を上げず、横を向いた状態になる。
「言いたい事があるなら早くいいなよ」
 言葉に棘なんてないけれど、その姿勢が、その態度が、まるで私を拒絶しているかのようで、心がぎしぎしと音を立てて痛み出す。
「……今日はなんの日か知ってるよね?」
「平日」
「そうじゃなくて」
「終業式の前日」
「そうなの! 試験結果が恐いけど、明後日から楽しい連休なのっ!」
「僕は別に試験結果は怖くないけどね」
「って、そうでもなくてっ!」
「ああそうだ。確か、アイザック・ニュートンの誕生日だよ」
「・・・・・・絶対わざとでしょう?」
「残念ながら、僕は無宗教だから」
「私だって無宗教だよっ?!」
「じゃあ僕と一緒だ。今日は単なる平日だよ」
 私の求める単語が、これでもかってほど出てくれないし、正直腹が立つ。
 それでも、「僕と一緒だ」というひと言で、私の心は馬鹿みたいに舞い上がる。
 無宗教なんていう共通点を持つ人なんて、私意外にも数え切れないほど居るのに。
「良いよ。もういっそ平日でいい」
「最初からそうだって言ってるじゃない」
「平日だから、イルミネーション見に行こうよ」
「言葉の前半と後半の繋がりが謎だね」
 言ってる自分でさえおかしいと思うのに、多種多彩な言語と、膨大な言葉が詰まっている彼の頭から引き出された短くて的確な指摘に、自分の言葉のつたなさに悲しくなる。
 普通の人ならまだしも、彼の場合は、面と向かって「馬鹿?」って言われたほうが遥かにましだ。
 俯いて一人へこんでいると、バンッ! と少し重い音がした。
「忠告」
 顔を上げた私の目を、眼鏡越しの彼の目が真っ直ぐと向いていた。
「僕に何か話しかける時は、僕の横に来て」
「・・・・・・え?」
 何を言っているのが、一瞬理解できなかった。
「真向かいに座るのは、僕と闘う必要がある人物か、敵だけだ」
 少し下がった眼鏡を押し上げて直し、にやりと不適な笑みを浮かべた。
「理解した?」
 私はこくこくと頷いた。
 それを見て一つ頷いた彼は、本を自分の鞄に詰め込み席を立ち、コートとマフラーを身につけて歩き出した。
「どこ行くのっ?!」
 振り返った彼が、片眉を吊り上げた。
「イルミネーション見に行くだけだけど?」
 人の心をかき乱すだけかき乱した後に、至極当然のように、平然と、私の求めていた事をする。
 なんて酷い人なんだろう。
「一緒に行ってもいい?」
「悪いなんて言った覚えはないけど?」
 どこまでも。捻くれていて。意地悪で。時々、腹が立つほど優しくなる。
 再び歩き出した彼の背に追いつくように、小走りになり外に出た。
 だけど、外に出た瞬間、彼が足を止めたので、したたかに顔を、彼の背中にぶつけてしまう。
「ついてくるの?」
 鼻の頭を押さえてた私の方に顔を向け、少しだけ首をかしげて尋ねてくる。
 一緒に行くのはいいのに、ついていくのはいけないのだろうか? それは流石に彼とてちょっと無茶苦茶だ。
「いけないの?」
「別に」
 そういって顔を前に戻すと、こう言った。
「じゃあどっか掴んでて。出ないときっと、直ぐに離れるよ?」
「いいの?」
 思いがけない言葉に驚いて尋ねても、返事は返ってこず、彼はさっさと歩き出してしまった。
 慌てて追いついて、彼のコートの右袖を掴んで、一緒に歩いた。
 
 
 
 彼を思う私の心は、天という果てしなく高い天井へ、どこまでも、どこまでも舞い上がる。



 ねえ。
 
 
 
 もっともっと、君を好きになっていいよね?





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2008⁄12⁄25(Thu) 23:09
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(2) trackback(0)
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【 コメント 】



先日は私の駄作にコメントをありがとうございました。
クールでインテリな眼鏡男子・・・私の大好物です(ジュルリ)
5、6年前に戻って、こういう恋愛をしてみたいわぁ・・・
2008/12/27 06:17 URL | warahana [ 編集]

>warahanaさん

こちらこそ、コメント有難うございます^^
クールでインテリな眼鏡男子、若干ツンデレ気味な感じが、私も大好きですw

>5、6年前に戻って、こういう恋愛をしてみたいわぁ・・・
とっても同感です。
ああ、もう少し若ければ、なんて言葉が出始めるくらいに年をとってきた事にちょっと涙出てきましたけど・・・・w

また是非いらしてください^^
2008/12/29 21:47 URL | yumi@管理人 [ 編集]
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管理人 : yumi
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職業 : SE
備考 : ここ最近の優先度。仕事>越えられない壁>睡眠>読書>観劇>弓道>ゲーム>ニコニコ。…どうしよう。なにかものすごく間違っている気がする。

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