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月を照らす太陽の光のごとく
愛情シリーズ


第二話 月を照らす太陽の光のごとく





 月が輝いて見えるのは、太陽が照らしているからだ。
 
 
 
 
 季節は秋に向けて大分進み、残る暑さも随分と弱くなった。
「もうすぐ帰って来るんだっけ?」
 隣を歩く友人は、棒付きの飴を口に銜えて、ゲタをからんころんと鳴らしながら、夕暮れ時の空を眺めて言った。
「予定ではな」
 見上げた空は、雨が降るとの予報が的中しそうな曇り空。
 もう、日の出ている時間も大分短くなっていて、街灯に明かりが灯るほどに、辺りは暗くなっている。
「それなのに、何でそんなに不機嫌なんだ? 俺の友」
「別に」
 言われるまで、それに気付いていなかった訳じゃない。
 毎朝鏡の前で見る自分の姿は、自分でも驚くほどに無表情で、無理やり作った笑い顔は、皮肉なほどに笑っていない。
 自分事だからこそ、はっきりとそれを認識し、自覚していた。
「言動の節々がトゲトゲだ」
 いつもよりも面白がるような声色で、友人はにやりと笑ってこちらを見た。
 その顔がたまらなく憎らしく感じて、緩んだ頬をつまんで引っ張った。
「はにふるんだほぉー!?」
「なに、ちょっとした憂さ晴らしだ」
 引っ張った頬から手を離してやると、むっつりとした顔で頬をさすりだす。
「暴力はんたーい」
 普段はこの友人自身が、こういった悪戯をよくしているくせに、いざ受ける身になると、あっという間に被害者面だ。
 いっそ清々しいほどに嘘くさい演技をしながらだけれど。
「その言葉、過去自分がしてきた行動を省みて言ってるのか?」
「必殺! 都合の悪い事は聴こえない振り!!」
「しっかり聴こえてるじゃないか」
 こんな無茶苦茶な友人でも、今は心底居てよかったと思えてしまう。
「相当キテるな、俺―――」
 自分の心の余裕の無さをはっきりと自覚してしまうと、なんだか酷く情けない。
 まだサークル活動の休憩時間が終わった友人は "あっかんえべえ" をして、ガコガコとあからさまにゲタを鳴らしながら去って行き、俺はその姿が見えなくなってから、ゆっくりとした歩調を元に戻した。
 思い出したかのように鳴いたひぐらしの声が辺りに響いた。
 
 
 
 
 
 * * *
 
 
 


 控えめに振り出した雨は、今は怒り狂ったように鳴り響く雷鳴につられるようにして、どんどんと強くなり、気づけば嵐のようになっていた。
 数メートル先もろくに見えないほどの雨。
 まるで、今の自分の心情にを表したかのようだ。
「重症だな」
 まだ髪は少し湿っていたが乾かすのが面倒で、適当にタオルで水分を取ると、そのままソファーに寝転がる。
 必然的に見上げる事になった白い天井。
 少し眺めていると、天井はまるで白いキャンパスのように、目に焼きついた光景を次々と描いて行く。
 
 目を覆いたくなるような辛い現実でも、目を逸らさず受け入れようとする強い心。
 どんな窮地でも、逃げ出さないと決めている強い意志。
 それらを一瞬にしてわからせるような強い眼差し。
 それはまるで呪いのように、何度も何度も繰り返して、白いキャンパスに描かれる。
 
 たった数ヶ月。
 嫌われたわけでも、見捨てられたわけでも、一生害あえなくなったわけでもない。
 ただ、数ヶ月間会えずに連絡も取れなくなっただけ。
 事前に知らされていた事だから、なんら問題ないはずだった。
 それなのに、この有様はなんだろう。
 気を緩めたら涙が溢れ出しそうな目元を、左腕で押さえつけて。
 右手には、最近めっきりある着信音だけ鳴らさなくなった携帯電話を、未練がましく握り締めて。
 毎日必死に耐えるだけの日々。
「―――――遅すぎるよ」
 涙をせき止めるのは、これほど苦しいものだったのだろうか。
 息がつまり、苦しげに喉が鳴る。
 目元を押さえる腕をどかしてしまえば、もう我慢なんて出来ないだろう。
 
 
 早く。早く。早く。
 
 ただの、一瞬でも構わない。
 
 
 
 
 貴女に逢いたい――――――。
 
 
 
 
 
 * * *

 
 
 
 
 どれだけ時間が経ったのだろうか。
 気づけば雨はやんでいて、空はうっすらと明るくなっていた。
 
 体を起こすと、頬を伝って、冷たい何かが手の甲に落ちた。
「情けないな・・・・」
 ごしごしと擦る様にして目元を拭い、顔を洗いに立ち上がる。
 すると、握り締めていた携帯電話が、緑色のランプを点滅させているのに目が留まる。
 開いた携帯電話のウィンドウには、着信を知らせる標示と、伝言メモがあることを示す標示が点灯していた。
 誰からなのかは着信名を見ればすぐにわかるだろう。
 けれど、何故だか今は、それをしたくはなかった。
 ボタンを押して電話を耳元に当てる。
 
 
『ただいま』


 たった一言。
 たったそれだけ。
 短すぎるにしてもほどがある。
 でも、たったそれだけで、沈んだ心はあっという間に浮かび上がる。
 本当に、馬鹿みたいに単純だ。
 
 
 
 
 
 
 
 顔を出した太陽が、キラキラと輝く光で、部屋の中に居る自分を一瞬照らしてくれた。






- 月を照らす太陽の光のごとく - Fin




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2008⁄07⁄06(Sun) 11:54
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
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