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ねこまたまめこは夢を見る。 へお越しいただきありがとうございます。

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Saint Valentine yumiの場合
苦手なものだって我慢するよ。

だって、大好きなキミのお願いだもの。









 甘いものは好き。でも苦手。
 昔はそんなこと無かったのに、今は体調悪い時以外は甘いものを食べようとする気すら起きない。
 それなのに。
 何故かお菓子作りに精を出している自分が、今ここに居た。
「むぅ~」
 むすっとした表情で、抱え持ったボウルと泡だて器を睨んで居る姪っ子のレンちゃんに、しゃがんで目の高さをあわせて尋ねてみた。
「どうしたの?」
「こいつ、一向に泡立たないのですっ! 強情なのですっ!!」
 光に当たると少しだけ茶の色が覗くふわふわの髪をツインテールにして、ふりふりのレースのエプロンを身につけ、鼻先に生クリームをちょこんとつけている姿は実に愛らしいが、言動は面白いくらいに尊大だ。
「うーん。困ったねぇ。メレンゲが出来ないと先に進めないから」
「迂闊だったのです。まさか最初にこのような強敵が現れるとはっ」
 言葉は尊大だけど、六歳の女の子であるのは変わらない。
 普段から料理をいっぱいする子ならば別かもしれないけれど、そうでないのだから、メレンゲ作りは思わぬ力仕事なので、そう簡単にできるはずも無い。
「じゃあ、その強敵は私が相手してみようかなあ」
 元々子ども扱いされるのが嫌いな子で、心底負けず嫌いなのもあり、そう簡単にボウルを手放そうとはしなかった。
 だけど、この調子だと一向にメレンゲが出来そうにないので、作るためには私がやらないといけないのは事実。
 そこで、渡してくれるような言い訳をつくった。
「大丈夫! レンちゃんが既に大分けちょんけちょんにしてるもん。きっとあっという間だよっ!」
「そ、それもそうなのです。既に私がけちょんけちょんにしているのですから、あっという間に撃墜なのは間違えないのですっ!」
「うんっ! そうだよっ! じゃあ、レンちゃんには代わりにチョコを溶かしたらどうかな?」
「任せるのですっ!」
 ボウルと泡だて器をずいっと私に押し付けると、テーブルの上に置いてあるレシピ本をじっと見つめて、チョコをどう溶かせばいいのか眺めはじめる。
 でも、まだ読めない漢字も沢山あって、"湯煎" と言う意味も知らないから、手を動かしながらちゃんとフォローもしなきゃいけないわけで。
「お湯はストーブの上に置いてあるヤカンからね?」
「わかっているのですっ!」
「お湯入れていいボウルは、その銀色のやつだよ?」
「チョコはどれに入れるべきなのか・・・・」
「その取っ手の付いてるやつね」
 彼女用に用意した脚の低いテーブルに、湯煎用のボウルを置いて、そこにヤカンからお湯を注ぐ。
 いっぱい入れそうな気もしたので、一応は注意をしておかないといけない。
「その中にチョコ入れたボウル入れるから、気をつけてね?」
 何を気をつけるのかまでは言う必要はない。
 それに気づかないほど、彼女は幼くは無いはずだから。
 一生懸命チョコを溶かし始めたころには、手元にあるボウルにはメレンゲが大分出来上がっていて、必要な分のチョコがしっかりと溶けた頃には、こちらもしっかりメレンゲが出来上がっていた。
「うん。これで殆ど出来たも同然だねっ!」
「ふふんっ! ちょろいのですっ!」
 ちょっと胸を張って威張るところがすごく可愛い。
 普段は小さい子などどうでもいいけれど、彼女は、レンちゃんは別。
 身内なのは確かにあるけれど、なんだかんだと面倒をみたくなってしまうほど、彼女は可愛くて仕方が無いから。
 甘い香りにじゃっかん胸焼けしていても、ちょっとの我慢だ。頑張れ自分。
「じゃあ、後は混ぜ合わせるだけだよ。あともうちょっと。頑張ろうっ!」
 薄力粉とココアパウダーを合わせて振るい、卵黄とグラニュー糖と生クリームをあわせたものにそれらを加えて混ぜ合わせて、メレンゲと溶かしたバター、チョコレートを入れて混ぜ合わせて型に流し込む。
 既に暖めておいたオーブンに、レンちゃんが慎重に入れて扉を閉めた。
「さあ、盛大に焼かれるがいいっ!!」
 スイッチを押す時のセリフに笑いそうになるのを必死で堪えるのが大変だった。




 夕方。
 お菓子作りに疲れたレンちゃんは、ソファーでぐっすりと眠っていた。
「ただいまー」
 レンちゃんの母親で、私の妹は、入ってくるやいなや甘い香りにつられてリビングに入ってきた。
「チョコの香りがするー」
 既にマヒしているのでよくわからないが、相当チョコの香りがするに違いない。
「ほんと、甘いものには目が無いよね、あんたは」
「お姉ちゃんが苦手すぎるんだよっ!」
「もうね、作ってる最中、甘い香りで死ぬかと思った」
「そんな大げさな・・・・・」
「今はマヒしてて何がなんだかわかんないから大丈夫だけどね。ちょっと胸焼けやしている気はするけども」
 呆れ顔の妹に苦笑いを浮かべて、夕飯まで冷蔵庫の中は見ないようにと釘をさしておく。
 そこで、もぞもぞとレンちゃんが起きてきた。
「・・・・・・母。お帰り」
「ただいま、レンちゃんっ!」
 がばっと抱きつかれて迷惑そうな顔をしたが、本気で嫌がっていないところからして、きっとこの愛情表現は嫌いじゃないんだろう。
「もう、可愛いなぁ~、このこのうっ!」
 頬をツンツンとつついてデレデレとしている妹。
 間違う事無き親馬鹿だ。
「ああもう、なんなのですっ! 離れなさいっ! 大の大人がっ」
「わーん、どんどんツンデレ娘になってくよぉ~」
「ツンデレとはなんですかっ?! ツンデレとはっ!!」
 顔を真っ赤にして怒るあたりが、やっぱりまだまだ子供な様子。
 でも、意外と最近の俗語は知らないらしい。
 うん。いい子だ。
「レンちゃん。もう冷蔵庫の中に置いてあるからね?」
 その言葉に動きがぴたりと止まり、慌てて母親を引っぺがして私の元にやって来る。
 そして、小さな声で尋ねてきた。
「・・・・・・味見はしてない?」
「作ったのはレンちゃんだからね。焼きあがった時と同じ状態をまだ維持してるよ、ちゃんと」
「そう。それならいいのです」
 すると、今度は私の背中をぐいぐいと押して、リビングの入り口まで来ると、両手を腰に当ててまたもや尊大に言った。
「暫くここには立ち入り禁止なのです! 母! あなたもですっ! 例外は一切受け付けないのですっ!」
「・・・・・・うーんと。わかった」
 なんとなく何をするのか理解はしていたが、そこは知らない振りをする。
 大人のマナーだ。
 しくしくと寂しそうな妹と共に、残った家事を片付ける事にした。






 夕食を済ませると、レンちゃんが紙袋から何かを取り出した。
 ちゃんと人数分に切り分けられて、可愛らしいラッピングが施されたガトーショコラだった。
「さあ、受け取るのですっ!」
 ぶすっとしながら次々と手渡してゆくそれらを見て、思わず顔がほころんでしまう。
 彼女が悪戦苦闘している姿を思い出したら、それこそ笑い出してしまいそうだった。
 
 最後は私の所だった。
 手に持っているのは、他の誰よりも大きく切り分けられたガトーショコラ。
 それには思わぬおまけがついていた。
 色とりどりの刺繍糸を編みこんだブレスレッド。
「ついでなのですっ!」
 顔を真っ赤にしてそれらを突き出す姿が本当に可愛い。
 苦手な甘いものでも、彼女が作ったものなら、ちゃんと食べれる気がする。
「ありがと」
「ちゃんとそれ、つけるのですよっ!?」
「じゃあ付けて?」
 腕を出すと、顔をさらに真っ赤にして、「自分でやるのですっ!!」と言って妹の背に隠れる。
「あーあ。実の母親よりもお姉ちゃんのが好きだなんて、ずるーい」
 いじける妹と、ふてくされているレンちゃんを見て、二人を除いた皆が笑った。
 
 
 
 
 
【お題】 やっぱりキミが好き



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2009⁄02⁄14(Sat) 15:36
ジャンル:小説・文学  テーマ:自作小説  カテゴリー:自作小説
comment(14) trackback(0)
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【 コメント 】



「さあ、盛大に焼かれるがいいっ!!」
愛おしい程に可愛いレンちゃんに、僕も焼かれたいと思いました。笑

ほっぺたとろける物語を、どうもありがとう。
2009/02/14 21:13 URL | 林檎 [ 編集]

こんばんは。読みに来ました^^

レンちゃんの台詞がいちいち可愛い♪
こんな姪っこがいたらいいなぁー
こういう話 好きです!

子どもの相手は ときに疲れるけど
こんな光景を見たら きっと微笑んでしまいますね

素敵なお話をありがとうございます♪ 

2009/02/14 21:31 URL | 恵以子 [ 編集]

レンちゃんかわいすぎー。

こんな姪っ子なら苦手なチョコも食べれちゃうわw

ほんわかしました。


2009/02/14 22:22 URL | 彩世 [ 編集]

この六歳児。
難しい言葉使いやがる。。。。
レンちゃんの将来恐るべしっ!!
2009/02/14 22:35 URL | 綾瀬 [ 編集]

…正直、子どもが好きではないのですが、
なぜかニヤニヤしてしまいましたwwww
(読み物の世界だからか…?)

しかしガトーショコラとは渋いセレクトでw
2009/02/14 23:55 URL | Mr.Noddy [ 編集]

はじめまして!先ほどはどうもです。
yumiさんの作品読ませていただきました!

レンちゃん、随分と心をくすぐるキャラですね。
これは可愛いわ。思わず可愛いのですっ!って言いたくなりますね。
男臭さで溢れた僕も、それを忘れてすごい和んじゃいました(笑)

楽しかったです。ありがとうございます。
2009/02/15 23:46 URL | スミタカストーン [ 編集]

>林檎さん

姪っ子ちゃん、可愛がってくれてありがとうございます。
私もこういう姪っ子欲しいです。
ええ、とってもっ。

恋愛要素はまるでなかったですが、ほっぺたとろける具合にはなったようで、大変うれしゅうございます^^
2009/02/16 22:35 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>恵以子さん

この度も読みに来てくださり大変感謝です。
お話、気に入っていただけたようでうれしゅございます。

ホント、こういう姪っ子いたら、全力でかわいがっちゃいますよねー。
私も、このこのぅっ♪ って、柄にもなくデレデレ顔でほっぺたつついてそうですもんw

子供のかわいさって、時に最強ですよね?w
2009/02/16 22:42 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>彩世ちゃん

思いのほかヒットした姪っ子ちゃんにびっくりです。
バレンタインのくせして恋愛要素かけらもないのにねっ!?

ほんわかしていただけてなによりです^^
2009/02/16 22:44 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>綾瀬

この六歳児、どんな教育うけてんのかと思うくらい、すごい言葉づかいなのは確かかも・・・・w
でも、近所の子の話聞いてると、意外と侮れない言葉使ってる子結構居るんだよねー。
オネエサンビックリシタモン。

そうだね、言われて気づいたよ。
彼女の将来、どんなんになってるのか、すごく心配だっ・・・・!
2009/02/16 22:48 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>Mr.Noddyさん

子供は苦手だけど・・・・と言いつつも、ニヤニヤしながら最後まで読んでいただけたようなので、嬉しいですw

ガトーショコラはですねー、甘いのが苦手な伯母さんのために、あまり甘くなりすぎないものを、と思ってチョイスしたんだと思いますっ!
(自分が食べたいから書いたので、渋いとかまるで思わなかったなんて言わないっ!!)
2009/02/16 22:58 URL | yumi@管理人 [ 編集]

>スミタカストーンさん

いえいえ、こちらこそ、来ていただき感謝です^^

姪っ子ちゃんは、皆さんの変なツボを突いたようで、ちゃっかり沢山の方に気に入られてしまったようですね。
きっとそれを聞いた姪っ子ちゃんは照れ隠しで、
「わ、私は可愛いのだから気に入られて当然なのです! 当たり前なのです!」
とか言ってそうですw

和んでいただけたようなので、よかったですw
2009/02/16 23:05 URL | yumi@管理人 [ 編集]

はじめまして☆

初見は携帯からなのですが、頭のなかに
自然と情景が浮かびました。
そして、かわいい姪っ子ちゃん。
Noddyさんと同じく子供は苦手なのですが、この姪っ子ちゃんは萌えwでした♪
2009/02/19 11:14 URL | 綴夜 [ 編集]

>綴夜さん

はじめまして^^

PCで読むのと、携帯で読むのとでは、意外と印象違うもんですよね。

姪っ子ちゃん萌ですか?w
いやー、私自身も書いながら撃沈しましたw
とってもぱわふりゃーな子だったんで、振り回された挙句にこんな事になってしまいました。
いいんだか悪いんだかですね・・・・?w
2009/02/26 23:19 URL | yumi@管理人 [ 編集]
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管理人 : yumi
年齢 : 26
性別 : 女
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